小学校6年生になったとき、

ボクは集団登校の班長に選ばれた。



毎朝の登校、

そして土曜日の集団下校。
 

班の先頭に立ち、

みんなを引っ張る役割。



「班長はタイラくんお願いね」



先生がそう発表した瞬間、

頭が真っ白になった。



え?なんで?


ほかに6年生の同級生がいるのに?



正直、

班長の仕事はそこまで大変なものじゃなかった。


でも、

ボクにとっては

「長」とつく役職そのものが、

耐えられなかった。

目立ちたくなかったから。



別にリーダーシップがあるわけではない。


周りを引っ張れるような性格でもない。

ただ、

ほかの同級生も特別リーダーシップがあったわけじゃないから、

消去法でボクが選ばれた

――ただそれだけのことだったのだろう。
 

とにかくイヤでイヤで仕方がなかった。



先生に

「できません」

と言えばよかった。
 

でも、

それができなかった。



もし断ったら、

先生はどう思うだろう?


「なんで?」

って聞かれたら、

なんて答えればいい?

もし

「イヤだから」

と正直に言ったら、

みんなはどう思う?



そんなことを考えているうちに、

気づけば小さく

「はい…」

と答えていた。



嫌われたくなかった。
期待を裏切りたくなかった。

結局、

ボクは班長になった。







小学生の頃から、

ボクは

「断ること」

ができなかった。



「〇〇やってくれる?」


「うん、いいよ。」



頼まれたことは、

なんでも引き受けた。
 

たとえそれが、

心の底からイヤなことだったとしても。



それが、

ボクの「生き方」になっていった。







大人になってからも、

変わらなかった。

本当はやりたいことがあっても、

誰かに頼まれたらそっちを優先した。

「自分のやりたいことよりも、

頼まれたことの方が大事。」

そうやって生きてきた。



気づけば、

ボクは「他人の人生」を生きていた。



自分の人生を生きていない。



そして、

大人になって、

いざ「自分の人生を生きるぞ!」

と意気込んだとき、

初めて気づいた。



ボクは、

自分の人生の歩き方を知らなかった。



ずっと

誰かの後ろをついていくことばかり

考えていたから。