幼少期の記憶の中で、いまだに胸がギュッと締め付けられるような感情を思い出すことがある。
それは、シゲルくんという子との出来事だ。
長崎のアパートに住んでいた頃、砂場で夢中になって砂の山やトンネルを作っていたボクに、シゲルくんが勢いよく駆け寄ってきた。
振り向く間もなく、彼の足が砂山を蹴散らしていく。
崩れた砂の山を見つめているうちに、恐怖と悲しみが胸の奥から湧き上がり、ボクはただ泣くことしかできなかった。
そんな記憶があるからか、ボクは豪快で強引な性格の人が苦手だ。
大人になった今でも、体育会系の人や勢いのある人に対して身構えてしまう自分がいる。
ある日、この話を母にしてみたところ、母は笑いながら言った。
「あの子は元気が良すぎてね、あんたが怖がってるのも分かってたよ。でも、あんたは女の子とばかり遊ぶようなおとなしい性格だったからね。」
その言葉を聞いたとき、子どもの頃の自分を母が見守ってくれていたことを初めて知った。
親に子供の頃の話をしてみると、親がどんな気持ちで見守ってくれていたのかを知ることができます。
それは自分自身を見つめ直す良い機会になるだけでなく、親との関係がより深まるきっかけにもなるはずです。
親への不満って、ずっとずっと記憶に残っていて、大人になってからも引きずってしまっているものです。
逆に、親に対して感謝するようなことは、あまり覚えていなかったりします。
怒りや悲しみという感情はそれだけ強いものということなんです。
でも、こうやって特定のシーンについて、親に子供の頃の自分をどう見ていたかを聞いてみると、自分が思っている以上に親は子供のことを見てくれていたことに気付けるはずです。
あなたもぜひ、親に子供の頃の話をしてみませんか?
新たな発見が、親子の絆をさらに強くしてくれるかもしれません。

