神社へ向かう道中だった。
妻がまた話し始めた。
そう、蛇と名乗ったヤツだ。
「神様に会いに行ったら命をとられるのではないか?」
「私は怖い」
そいつは昨日までと打って変わってめそめそとしている。
人を食ってやると言っていながら、自分のこととなると弱腰だ。
てか、こいつ人の部屋へ勝手に入ってきておいて「申し訳ない」の一言もない。
妻の口を借りているかもしれないが、部屋の家賃を払っているのは私だ。
今はそんなこと、どうでもいい。
そいつは涙を流しながら神様を恐れている。
「神様ってそんなに怖いのか?」
私は訊ねた。
「怖い」
「とても怖い」
そいつは答えた。
「神様はとてつもない力を持っていて、私の命を奪うことなんてなんてことはない」
そいつは心底恐れている。
「でも、神様がそんなに大きな力を持っているなら、もうこの時点で君は命を奪われているのではないか?」
「神様がそれをしていないということなら、君を生かしてくれてると考えられるんじゃないかな」
「・・・そうなのだろうか・・・」
そいつは自分が生かされていることを不思議に思いながらも、やはり神様は怖いと言っている。
神社に到着した。
そいつはやはり神様に会いたがらない。
てか、もう境内にいるのだから神様の領域だ。
「とりあえず神様に命令を失敗したことを報告して、しっかり謝っておいで」
「もし、それで許してもらえなかったら帰ってくればいい。そして今後どうすればいいのか考えよう」
そいつは意を決したように妻から離れていった。
しばらくしてそいつは帰ってきた。
私は内心「帰ってきやがった!」と思った。
そいつは妻の口を借り、泣きながら話をした。
「許してもらえた。神様に許してもらえた。また神様の側に仕えることができる」
「ありがとう、ありがとう」
そう言ってそいつは離れていった。
その後、そいつはやってこない。
しっかりやっているのだろうか…
神の世界でも、人の世界でもしっかりと気持ちを込めて謝れば許してもらえるということだろう。
てか、命を取られるくらい大変なミスってなんなんだよ?
神様はバチを与えるが、本質は優しいに違いない。