アトリエ
展覧会が近い
制作をしていると、嫌でも部屋の景色が目にはいる
みんなは、立派なアトリエを持っているみたいだけれど、
私のアトリエは、しょぼい
特別な道具も、そんなに広いスペースもいらないから、
実家の自分の部屋の隣の元弟の部屋が今のところ、私の城なのです
部屋は、北向きだけど、大きな窓と、天窓があって、とても明るい
ロフトには、昔の作品を山積みにしている
贅沢を言わなければ、そんなにわるくない
だけどお嬢様は、贅沢を言いたい
この部屋は、弟が結婚して出ていってしまってから、ずっと倉庫のように使われていたため、
家族の服やお母さんの趣味の道具など、支離滅裂で、もう手におえない状態になっている
そして、壁一面スライド式の本棚いっぱいに並ぶ少女漫画
あのピンク色の背表紙には、憎しみすら覚える
その上、何よりも許せないのは、自分のスタイルである
本当は、でっかい木の机に、ドイツ軍の椅子にでも座って制作したい
だけど、小さい頃から、厳しく正座で育てられたから、
どうしても、床に座らないと落ち着かない
だから現実は、着物を仕立てる用の低い机に、無印良品の座椅子となってしまう
まったく趣味じゃない
まあ、強い作家は、そんなことにとらわれない
見えないように、何も見ないように、窓側を向いて、手元に集中しよう