やっぱりこの世は、多元宇宙[マルチユニバース]ですよね!

ワンバース ツーバース スリーバース ユニバース 繋ぎ合わせてこの歌になるよ !!!!※uni-verse/オーイシマサヨシ(作詞・作曲:大石昌良)

 

…というわけでどうもまいど、月辺です。

前回〆で「これからはもっとコンスタントに当ブログを更新します☆」とは宣言したが(宣言…というのか?アレで)、よもやたった2日で此処に舞い戻ってくるとか誰が想像できただろうか。いや誰も出来ない。この現実は、アナタの想像を凌駕する!©城崎絵美

んじゃあ、何故この記事を書いてるのかって?アレを読んだからですよ…

そう……

 

『ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE』(著:長谷川圭一 設定:谷崎あきら 原作:清水栄一・下口智裕 ※全3巻)をね!!!

 

いやァ、ULTRAMAN SUIT(=マン。装着者:早田進次郎)を始めとしてSEVEN、ACE、ZOFFY……と主に昭和ウルトラ戦士を模したアーマースーツをフィーチャーした原作漫画は「ウルトラマンシリーズへのニッチな作品愛」や「ケレン味」「意外性」、そしてそれら演出的要素とは相反する「芯の通った重厚なストーリー展開」が面白い1作だが…この『UAU』はTIGA、ZEROという平成のウルトラ戦士をモティーフとしたスーツが登場し、更には原作でも追加戦士として大活躍の炎の男ことTARO/東光太郎にも焦点をあてながら大スケールの「アナザー」ストーリーが展開されている。非常に面白い。

小説執筆を努めたのは、ティガ以降のウルトラシリーズや平成ライダー2期以降の脚本を担当され、『ガイキングLOD』『SSSS.GRIDMAN』などスパロボ登場アニメにも携わられた長谷川氏。そのためか、漫画ULTRAMANにはないシンプルかつ王道のヒロイズムが文章の至る所に散りばめられている。原作では冷たく頑なで威圧的な表情に終止している諸星さえ、後半は心做しか柔和な一面を覗かせ、なんと2作目の「Episode ZERO」では淡いラブ・ロマンスを繰り広げているのだが、それでもキャラの本質が損なわれたりブレたりしている印象は全く無いのだから、もう感心しきりである。

勿論、脚本家の方による小説とは得てして文章の体裁が整っていないものだ。所謂「ト書き」の癖が出てしまうコトは往々にしてあるし、このUAUにおいてもそうした読みづらさは要所要所で感じた。

が、講談社キャラクターズ文庫とか能くお読みになる方は共感してくださると思うのだが、筋書きが「ホンモノ」であれば、途中からそんな些末な欠点は気にならなくなるのだ。事実、8U編での8戦士集結シーンなんか、ウルトラシリーズに疎い月辺でさえ思わず立ち上がって拳を突き上げたくなる程興奮したワケである。こんなん暦年のファンなら号泣必至だろう。

 

さて、どうせ私のブログに熱心に通ってくださる好きm…奇特な読者様の数を数えるには十指どころか片手指で足りるだろうし、タイトルに惹かれて読んでくださった方はUAUを履修しているに決まっているので、ココからはネタバレ配慮を一切せず、言いたいコトを言おうと思う。一応、未読の方は注意されたし。

⚠️ワンクッション⚠️

 

月辺がUAU全3巻を通して最も心惹かれたのは、やはりというべきか当然というべきか、Episode ZEROの「ZERO SUIT」(に宿る意思「ゼロ」を含む)と、スーツの装着者・薩摩次郎であった。

薩摩次郎!この名前に反応しないヒトは皆無だろう。『ウルトラセブン』の視聴経験が無い月辺ですら知っている。ウルトラセブンが地球で活動するための姿「モロボシ・ダン」の魂の参考にした、勇気ある仲間思いの青年。森次晃嗣氏が一人二役で演じたコトでも有名である。

UAUにおける次郎は、第1巻「Episode TIGA」で起きた「ガタノゾーア」の召喚・復活に起因する大災害の痕を引きずる(かつて上海のあった)海上において、「ダイブハンガー」(表向きは復興のシンボルとなるピラミッドだが、その実は中心に据えられた半球形の「グランドーム」を以て「時空歪曲点」を封印する目的があった)の建設に関わっていた一作業員。

封印されていたはずの時空歪曲点から新たに異形の敵が出現し、幼馴染で同僚の女性・アンナが逃げ遅れてしまい、彼女を救いたいという強い思いで行動したコトで「ZERO SUIT」に宿る意思から見初められ、適合者としてスーツを装着し戦うことになる…つまりは典型的な「巻き込まれ」主人公。

前述のアンナに対する仄かな恋心や、憧れの父親(難病で既に他界)のようなヒーローになりたいと願う純粋な心はあれど、故郷も師も同胞も喪い、愛する女性も傷つけられたTIGA=ダイゴや、友を亡くすキッカケを作ってしまった己を責め、孤独に怒りを燃やし続けるTARO=光太郎に比べれば、次郎の戦う理由(動機)は極めて単純かつ原初的である。特別なカリスマのあるタイプでも無く、それどころか嘘はつけないわオカルトは苦手だわオクテ男子だわ、とツッコミどころ満点のごく普通の青年。

それでも、直向きに正義のヒーローを目指す次郎の姿が、いつしか復讐心に苛まれていた「ゼロ」の意思や、心を頑なに閉ざしていた諸星、自我を奪われていたマヤ(マゼラン星人の女性)に影響を及ぼし、彼らの精神を氷解させていく流れは、まさしく主人公のドラマに備わるカタルシス!

はじめはただウルトラマンへの憧れを胸に戦っていた次郎が、いつしかたくさんの守りたいモノや背中を預ける仲間に恵まれて本物のヒーローへと成長していく様は、進次郎と同等かそれ以上に移入できる主役/主視点として映ったし、スーツのデザインもSEVENのそれに酷似していながらより王道な仕上がりになっているので、漫画にもカメオ出演で良いから登場してくれないかな〜!と期待せずにはいられないのだ。(無論、TIGAとユザレもですが。)

また、諸星に大きな影響を与えた女性として先述の「マヤ」が出てくるのも興味深い。諸星にラブ・ロマンスは無理だろうと思った方、私もです。でもちゃんと甘酸っぱい話なのでぜひ読んでほしい。もう読んだヒトは「そうだよね!」とココで大きく頷いてほしい。

敵の工作員として潜入した電子生命体__かと思いきやまさかの、記憶を失っていた諸星の旧友?__いや、そうと見せかけてやっぱり敵、いやそれこそが偽装で本当は、と次々見え方の変わるマヤ。謎多きスーツ「LOPS ZERO」と併せてミステリアスな雰囲気を多分に醸し出していて。

特に、諸星の旧知であった自分を取り戻したかに見せかけ、動揺した彼を強か殴りつけ、「弱くなった」「元から何も変わっていない」と嘲笑するシーンは、「コレ絶対偽装だよな…」「と、見せかけて?的なパターンだよな…」とどっかで見たコトある展開(※何を言っているのか分からねーヒトは是非『鉄のラインバレル』キリヤマ重工編を読んでください。「悪いが私と闘ってもらうぞ、早瀬」)に違う意味でドキドキしてしまいました。案の定でしたし、「皆に迷惑かけちゃったから…!」とお命で責任を取ろうとする辺り思った通りの女の子でした。「悪女ムーブを取る、自分のコトをまあまあ演技派だと思っている健気系ヒロイン」に弱い人におすすめのキャラです、マヤちゃん。何と8U編では科特隊オペレーターになってるんですね〜!ますますおすすめのキャラです。マヤちゃん。

 

次郎に話を戻すと、彼の物語で面白いのは、原作『ウルトラセブン』に見られた「落盤事故から仲間とともに奇跡の生還を果たし、ミラクルマンの異名で称された」人物を次郎…ではなく亡くなったその「父」とした点。これによって、父との思い出が詰まったトンネルで異星人に襲われた次郎が、偶然その場に居合わせ自分を救ってくれたSEVENに「父さん」(=「ゼロ」は「セブン」の息子!)の面影を重ね合わせ、ウルトラマンに憧憬を抱く…というドラマが生まれたワケだ。その反面、諸星と次郎がそれぞれ装着するスーツSEVENとZEROの関係は、原典と大きく異なり、プロトタイプであるZERO SUITが井出によって開発されたものの諸星の身体には適合せずスーツはお蔵入りとなり(諸星曰く「失敗作」)、改良開発を重ねた正式ロールアウト版たるSEVEN SUITが採用された…という流れになっている。

つまり、スーツだけを見ればZEROがSEVENのご先祖様になるワケで、この逆説はトンチがきいていると言えよう。転送時にSUITがコピー・ペーストされてしまうバグが起き、そのバグで生まれた黒いZERO SUIT=LOPS ZEROも物語のキーとして描かれていて、此方のデザインも適度に畏怖を感じさせつつ、シブくてカッコいい。

ZERO編のみならず8Uでも引き続き一人称的なポジションに置かれ、光太郎やジャック、レネ等と共に異星人絡みの怪事件や暗黒の存在に立ち向かっていく次郎。すっかり彼の相棒となった「ゼロ」。コレを単なる異聞譚にするのはあまりに惜しい!正史に加えませんか!ああでもマヤとか上海とか色々難しくなっちゃうのか?ならせめてワンカット(1コマ)だけでも…!!となり、“異次元”のくだりでうん?ならやっぱ正式採用しても良いのでは!?になり、最終的な結末にだよな…やっぱ難しいよな…(しょんぼり)でもコレはコレでMOVIE大戦とかVシネマ限定のライダーみたいでアツいし良かったんだ…と静かに納得した月辺。8Uの最後で集結したウルトラマンは6人でしたが、「俺たちが……ULTRAMANだ!」と堂々たる地文(モノローグ)で終わってくれたから「この“たち”には彼らに希望の光を送ってくれた民衆たちや、今は同じ場所・時空にいない戦友たちも含まれてるんだろうな」とか思いを馳せるコトが出来ます。そうそう、最終決戦で、ULTRAMANやTIGA、ZEROたちが圧倒的不利な状況の中決然と己を奮い立たせ、互いへの信頼を武器に闘い続ける姿と、その様子に心打たれた人々が戦士たちへ希望を届けるクライマックスは、めちゃくちゃ東映っぽくて最高でした。ある意味現時点での漫画版ULTRAMANが突き当たっている問題(ゼットンコアの言い分・「光の戦士ウルトラマンを神聖視して彼らに頼りきり、自らの進化を止めてしまった地球人種は果たして星団評議会構成員の一員たるに相応しいのか?」)に対するアンチテーゼ的な要素も孕んでいて、「信じてくれる人々を守るために立ち上がるのがヒーローなんだ!」という展開に震えました。東映ってのはさァ、コレで良いんだよッ!王道で!ベタの何が悪いってんだよッ

でもコレ…多分漫画もこうなるんだよな。進次郎クンが「それでも俺は人々を守り続ける!」ってオーバーロードじみた超常パワーを発揮するんだろうな。でも、漫画の場合、そこで黄金の光が彼らを包んで__とか奇跡的な描写は無さそうなので、普通に主人公◎ぬエンドしか見えません。主人公を犠牲に世界は救われたのだ。ありがとう主人公。あぁラインバレルの二の舞。取り返しのつかないコトをし続ける清水下口両氏__(恐怖)

えー、話を戻すと、ただ幾ら未来が書き換わったと言っても、何処かの時空にはダイゴとユザレが放浪の末に居場所を見つけているのだろうし、ZERO SUITは元通り科特隊基地の格納庫に眠っているコトになったのだろうから……何かのキッカケで再び彼らの世界が交わるコトもあるんだよね!?それが漫画ULTRAMANであっても誰も文句はないハズだよね!!?DA・YO・NE!!!?

だ〜よ〜ね〜 だよね 言うっきゃないかもね そんな時ならね※DA.YO.NE/EAST END×YURI(作詞:GAKU・MUMMY-D 作曲:YOGGY)

と諦め悪く思っている月辺ですよ。そうしたらなんと…

 

https://www.amazon.co.jp/ULTRAMAN-ANOTHER-UNIVERSE-MANIACS-HOBBY/dp/4798630829

 

こんなモンがあるんだそうです。番外編小説?NEXUS SUIT登場の描き下ろし? いや 終わってなかったんじゃん!!勝手に読み切ったわ〜とめっちゃ大団円的な気分に浸ってました。全然道半ばやったわ。しかもムック本にはデザインやプラモ作例、ソーシャルゲームアプリ版の紹介もあるそうで…少々お値は張りますが、UAU熱が高まっている今だからこそ手に入れたい逸品。どっかで出会えると良いなあ〜…東映系に強い某書店に久々、行ってみようかしら。

フィギュアライズスタンダードのZERO SUITも、LOPSともども作ってSEVENの横に飾ってあげたいです。あー……いつか、……そう遠くない未来に……(積みプラの山を見上げつつ)