佐野元春 & ザ・コヨーテバンド「2024年初夏、Zepp Tourで逢いましょう」 | アナログオーディオと音楽★NetThePopブログ

アナログオーディオと音楽★NetThePopブログ

アナログオーディオと音楽の雑文~自作オーディオと隠れた名盤etc
ヤフブロ移民組

 いつもの旧知の音楽仲間オッサン3人組、札幌に向かう。2024年6月27日、佐野元春 & ザ・コヨーテバンド「2024年初夏、Zepp Tourで逢いましょう」である。行こうかどうしようかと思っているうちにチケット販売が終了していた。何故躊躇していたかというと情けない話だが、市内ならまだしも市外に行くとなると移動手段を含め色々なことがハードルになったりする。これは歳のせいである。最近、大好きなはずのものを食べようと思っていても、食べた後に胃に変調をきたすことが多くなり放棄することがある。そんな感覚である。

 さて、そのうち立見席の発券が告知され、体力的な不安があるものの「ええーい行っちまえ」となり、他の二人を誘った次第。

 JRで行こうかと目論んだが、料金がとんでもなく上がっている。急行列車でさえ全席指定方式になり、乗車券を安く買おうと思うとネット予約が必要で面倒になっている。JRさんすみませんが、滅茶苦わかり難いです。使い辛いです。ネットとかPCとか使いこなせない人は乗るなというな世界が展開していますよ。

 結局、車で行こうとなる。

 佐野元春のコンサートに最後に行ったのは何時か?記憶なし。スマホの中の写真を探してみる。2018年のManiji Tourのセットリストが見つかる。その当時はスマホではなくガラケー携帯だったはずでデータがちゃんと移行していたことに感心する。そして、個人的な事情でこの後はコンサートとかライブには行くことは不可になったのだなと ちょっと哀しい記憶も駆け巡ったりする。

 ゼップサッポロに来るのは何年ぶりだろうか?多分、ディランのコンサート以来かと想う。調べてみたら10年も前だった。光陰矢の如し。

 大きくアレンジを変えた「君を探している」で幕があく、そしてニューレコーディングで配信された「ヤングブラッズ」と続く。個人的には6年も間があり、今年の「今、何処」ツアーを見逃している。いちファンとしてここに戻って来たことに何とも言えない心持ちになる。スタジオアルバム「自由の岸辺」、「或る秋の日」「エンタテインメント」、そして「今、何処」と移り変わる中、私はあまり意識的な聴き方をしないまま時間が過ぎてしまった。つまりはあまり良い聴き手ではなかった訳だ。

 ずっと昔に自分と旧知のオッサン達が主催していた地方の小さな音楽フェスに佐野さんが、メッセージ音源をくれたり、書簡をくれたりした。ラジオ番組で二度本人と電話でやりとりしている。しかし、そのうち一回は私がトンデモ発言をして全面ボツになってオンエアされなかったりした…。今考えると何でそんなことが実現したのかが不思議だったりする。

 コヨーテバンドが来年で結成20周年になる。ハートランド、ホーボーキング、そしてコヨーテバンドとなる。コヨーテの最初の演奏を見た時、ちょっと不安になるところもあったりしたが、この日、見ていて彼らの演奏は良かった。眩いスポットライトの中、何時ものように何時かのように歌と音が飛んで来る。

 曲のアレンジが変えられたり、メロディラインが書替えられたりするのと同時に歌詞にも同様な変化と進化がある。今から20年前のアルバム「THE SUN」の頃から佐野元春は日本語を使うこと、もっと身近な日常風景描くことに新境地を見出し始める。それが顕著になったのは「月と専制君主」だった。過去の作品の歌詞を本格的に書き直し始めた。彼の作品のスタイルは英語を散りばめ、独特の歌世界を創り出すところにあった。それが今や平然と英語の部分が日本語に置き換わることが多い。元々、ビートジェネレーションに影響を受け、詩の朗唱から作品を作ることが多々あり、言葉へのこだわりは生半可ではない。数年前、詩人・吉増剛造と佐野元春が対話するテレビのドキュメンタリー番組があった。一人の詩人から懸命に言葉という表現を汲み取ろうとする彼の姿に、言い知れぬ気迫を感じた記憶がある。

 約2時間の演奏、23曲の歌の数々が駆け抜けた。終わった後、何時もの通りセットリストが会場に掲示される。それを写真に撮り会場を後にする。オッサン3人組は帰路につく。一人のオッサンが「サムデイ」が演奏されなかったと不平を言うので、帰りの車の中でスマホからカーオディオへ「今、何処」ライブ盤の音源を飛ばす。そんなこんなで雨混じりの一日が終わった。

 

注)ツアー終了が8月1日だったため、その間、演奏曲名はネットなどで厳禁。故に今更、こんな文章を書いてみた。

 

余談)ライブ前、時間潰しに入った喫茶店の「呆れるくらい真っ暗トイレ事件」というエピソードもあったが長くなるので省略。

 

written by 鹿毛不二彦