今回ご紹介させていただきますのは、コチラです⬇️




北村薫さんの、「秋の花」です。


女子大生の「私」と、噺家で探偵役の円紫さんがが主人公のシリーズ第三作で、シリーズ初長編ですね。


大学生の「私」の高校の後輩真理子が、文化祭間近のある夜、校舎の屋上から墜落死する。いつも一緒にいた幼なじみで親友の利恵はどんどん憔悴していくが、その姿を案じた「私」はその自殺にも他殺にも事故にもみえる事件の真相に迫ろうとする。しかし謎は深まるばかりで………


こんな出だしです。


今回は、円紫さんが本当に最後まで登場しないので、「私」が謎を解く初のパターンかと思いましたが、やはり最後はビシッと円紫さんが締めくくってくれました。


日を追うにつれてやつれていく利恵の姿が本当に痛々しいのですが、「私」の親友である正ちゃんと江美ちゃんがカラリと明るい性格で、作品全体のバランスがとれていて悲しく暗い物語になってないのが、読者としても救われるところです。


「私」に話を聞いて、その場ですぐに真相に辿り着く円紫さんの切れ味はこれまでのシリーズ同様ですが、推理の材料が同じだけあっても僕には1ミリも分かりませんでした。それらしいイメージすら湧かなかった😵


何かをしようとした「明日」が消えてしまったら、その人の「生きた」ということはどこに残るのか、という「私」の疑問に対する円紫さんの答えが、とても印象に残ります。この作品を通じて作者が最も伝えたかったことは、これなんじゃないかとすら思えます。


悲しい事件でしたが、それでも時は容赦なく淡々と進んでいく。それは無慈悲なことなのか、それとも優しく有難いことなのか、どっちなんだろうと、ちょっと考えちゃいました💦


そして最後の、亡くなった真理子のお母さんの行動というか態度に、とても感動させられましたね🥹


いい物語でした。


いかがでしょうか、機会がありましたらぜひ✨✨✨