精神科において、難治例というものがあります。通常の治療を行っても改善が得られない症例です。統合失調症、双極性障害、うつ病といった精神科における主要な疾患は薬物療法がかなり進んでいて、各国の学会がガイドラインを出していますが、大まかな流れは共通しています。それらに従って数種類の薬を順番に使用したり、組み合わせて使用したりして治療を行うなどしても改善が得られず、治療が難しくなっている症例です。

 

 時々そういう症例はたしかにあるのですが、現在はそういった難治例ではなく、医原性に悪化した症例が増えています。

 

 結局どういう症例かというと、大きなってから発達障害と言われた症例です。もちろん全て発達障害とは無関係な症例です。

 

 大きくなってから精神障害を発症した症例を自分勝手に、見逃されていたADHD、見逃されていた自閉スペクトラム症、見逃されていた精神遅滞などと出鱈目な方法で出鱈目な診断を次々に付け加えられ、標準的な治療を受けられなかった人達です。

 

 通常の難治例の対処法についてはたくさんの研究がなされていて試してみる方法もまだありますが、こういった”見逃されていた発達障害という診断”(そもそも意味不明な表現です)の治療法など確立されていません。

 

 ただただ、診断基準や通常の診断のルールを守って、正しい精神障害の診断をつけて、出鱈目な処方を中止して、一般的なガイドラインに沿った薬物療法をするしかありません。

 

 誰かがどこかの時点でそうしてあげないと状態は悪化していくだけです。

 

 症状も悪化していくし、家族や周囲の人達との関係も悪化していきます。周りの人からも家族からも主治医からも匙を投げられてやってきます。子供の時は障害児でもなんでもなく、療育も支援もなく普通の生活をしていたにもかかわらずです。ちょっとでも苦手だったことを針小棒大にADHDや自閉スペクトラム症だと言って出鱈目な診断をつけられるのです。

 

 まさに医原性の疾患です。不適切な医療がうんだ病気です。最初からルールを守って対応されていればこんなことにならずに済んだのにという気の毒な患者さんや家族がどんどんやってきます。

 

 精神科的な問題だと思ってせっかく相談や受診をしても、(見逃されていた)ADHDかもしれない、(気づかれなかった)自閉スペクトラム症かもしれない、(軽くてわからなかった)知的障害(精神遅滞)かもしれない、と言われて診断には全く役にたたない知能検査やテストを受けさせられ、(気づかれなかった)ADHD、(気づかれなかった)自閉スペクトラム症、(気づかれなかった)知的障害、というでたらめな診断がどんどん付け加えられ、生まれつきの特性だ、受け入れるしかない、受容しろ、と言われて、まともな治療は受けられず、本人の精神疾患はどんどん悪化して、家からも出られず、人とも会わず、社会性をどんどん失っていく、そんな状態をずっと見ている親も心を病んでしまう。結局、親子そろって通院している。そんな家族もたくさんいます。

 

 こうやって不適切な医療によって生まれた新たな病気がどんどん広がっているのです。

 

 病気を治すのではなく、病気の症状は全て生まれつきの障害が大きくなるまで見逃されていたものだと言って治せないようにしているのです。こんなことをしている人達のことは心から軽蔑します。

 

 もう、こういう患者さんや家族を毎日みているのもほんとうに疲れました。ほんとうにかわいそうで気の毒です。1日でも早く騙されていることに気づいてください。