みなさまこんにちは

 

 今週も発達障害が見逃される、気づかれない、と嘘とデマと偏見を広げている人達に騙された人達がやってきました。

 

 こんなことを言っている精神科医や心理士は精神科における、最も基本的な概念が欠如しています。

 

 彼らには、認知機能、認知機能障害、社会機能、陰性症状、前駆期、病前期、発症危機状態(ARMS)、統合失調症の自閉、社会的引きこもり、神経発達障害仮説、寛解と増悪、再燃、病前性格、発症、残遺症状、先天性と後天性の違い、その他、ありとあらゆる基本的な概念が欠けています。

 

 彼らは見逃されていた発達障害というもの以外のことは何も学ぼうとせず、こういった精神医学の基本的なことを深く学ぼうとしていません。こういう人達は驚くほどに基本的な知識がありません。

 

 ですから患者さんの上に書いたような基本的な問題を、発達障害が見逃されていたという考えにしか至らず、それらを、特性、発達特性、発達の偏り、グレーゾーン、自閉傾向、ADHD傾向、などとわけのわからない表現を使ってごまかすしかないのです。

 

 だから上に書いたような基本的な概念のことに触れようとすると、混乱して不機嫌になったり気まずくなったり、怒り出したりするので、全く話しになりません。

 

 一番肝心な幼少時の話しは特に触れられたくないようで、病歴においては徹底的に誤魔化したり隠したりしますし、発達障害について大勢の前で話している演者も、小さい時の話しに触れるのはタブーのような雰囲気を醸し出します。

 

 この人達の誤解と嘘とデマが世間一般に広まってしまい、本当に臨床がやりづらくなってしまいました。患者さんの家族もデタラメな知識で洗脳された状態でやってきますので、いくら小さい時に障害児ではなかったことを確認して、自閉症でもADHDでもなく、精神疾患なので適切な治療をしていきましょうと言っても、なかなか信じてもらえません。

 

 ほんとうに正直者が馬鹿をみる世の中になってしまいました。こんなことでは、本当にきちんと勉強している良心的な精神科医はいなくなってしまうと思います。患者さんのためを思って頑張るほどに、嫌な思いをするのです。

 

 精神疾患は誰にでも起こりうる病気です。遺伝的な影響もありますが、家族に精神疾患の人がいなくても発症している人はたくさんいます。

 

 誰も精神疾患になろうと思って精神疾患になりません。体の病気と同じです。どんな病気でも病気になるということは不幸なことかもしれませんが、医学は進歩していますし、統合失調症や双極性障害、うつ病など主要な精神疾患は薬物療法で治療ができるようになっています。薬物療法がなかった時代に比べると信じられないくらいの劇的な変化です。

 

 せっかく治療できるようになった病気なのに、生まれつきの障害が誰にも気づかれなかったとか、色々なことがうまく出来なくなったのは生まれつきの特性だなどといって、まともな治療を受けさせてもらえない人がたくさんいます。

 

 こんな人達に人生の大切な機会を奪われてはいけません。

 

 特に10代、思春期というのは、精神疾患の前駆期や発症危機状態、初期にあたることが多く、最終的な診断がどうなるかわからないのが普通です。この最初の数年が病気の予後に大きく影響します。人生の大きな岐路です。ここで意味不明な発達検査などというものを受けてしまうと間違った方向にむかってしまいます。

 

 こういう時期に知能検査を何回したところで、発症前の状態はわかりませんし、みんな同じような所見になってなんの診断もできません。こういう時期にASDやADHDのテストを受けてもたくさんあてはまってしまうので、なんの意味もありません。

 

 こんなものを受けても予後はよくなりません。騙されてはいけません。発達障害に詳しいからこんなテストをするのではなく、発達障害のことがまるっきりわかっていないからこんなテストをするしかないのです。

 

 この大事な時期にボタンの掛け違いをしてしまったために、数年後に最悪の状況になって受診したり、入院したりしてくる患者さんが後をたちません。

 

 精神疾患は認知の障害を伴いますし、社会機能が低下します。年月と共に病状が悪化したり、治療をしないまま放置されると、認知障害も社会機能も悪化します。こういう当たり前すぎることもわからない人達に騙されていることに気づきましょう。

 

 自閉症もADHDも知的障害も気づかれないなんておかしな表現だということに気づきましょう。冷静になりましょう。では、小さい頃から自閉症やADHDや知的障害で悩んで苦労して療育に通ったりしてきた親は気づけた人なんでしょうか。精神疾患が発症する年代に精神症状が出るまで普通に育ててきた親は子供のことを全然みていないダメな親なのでしょうか。

 

 自閉症もADHDも知的障害も、成長してから特定の人だけが気付ける障害なのでしょうか。テストをしないと明らかにならない障害なのでしょうか。冷静になりましょう。こんなことを言っている人たちは、自閉症やADHDや知的障害とは全く関係ないもののことを言っているのは明らかではないですか。

 

 こんなことを世の中全体でやってきても誰も得をしません。得をするのは、ろくに勉強もせず、専門知識も基礎知識もなく知ったかぶりで自分達がすごいんだと自惚れて、自分達よりも勉強して誠実に臨床をしている精神科医のことを馬鹿にしている人達だけです。