みなさまこんにちは

 

 寒い日が続きます。風邪などひかないようにご注意ください。

 

 精神科の仕事をしていて毎日色々なことを考えてしまいます。

 

 この頃は、精神科の仕事とはいったいなんだったのだろう、精神科に関わる人はなんのためにその仕事を選んでいるのだろう、と考えさせられます。

 

 精神を病んでしまった人の力になりたい、精神を病めば普通の生活ができなくなる、だから少しでも普通の生活に戻れるように助けになりたい、少しでも今よりよい状態で生活できるように手伝ってあげたい、そんな気持ちだったのではないのでしょうか。

 

 だから色々と勉強して、その助けとなる方法を経験しながら学んでいこうとしたのではないでしょうか。

 

 しかし、現実の精神科の状況は、そんな想いから全く正反対の方向に向かっているようです。

 

 精神を病めば、認知の力に問題が生じます。社会で生きる力が低下します。誰が聞いてもわかるような当たり前のことです。

 

 例えば、骨折すれば日常生活の色々な動作に影響が出ます。認知症になると、ADL(日常生活動作)が低下して介護が必要になります。脳血管障害の後遺症でも、ADLは低下しますし、精神面での問題が生じることもよくあります。

 

 何か病気が生じれば、それまで出来ていたことがそれまで通りに出来なくなります。その病気によっては、ほとんど元通りになることもありますが、決して元通りにはならない病気もたくさんあります。

 

 精神疾患も同じようなものです。しかし、元通りとはいかない病気のほうが多いので、たくさんの支援の制度が必要になります。

 

 しかし、今の日本で精神科をとりまく世界では、この当たり前に出来なくなることを、生まれつきの障害が気づかれずに見逃されていたと主張する人達が大手をふるって歩いています。

 

 昔はこんなことをいう人は周りにほとんどいませんでした。こんなことをいう人は異端でした。

 

 ところが、今はねこもしゃくしも自閉症やADHD、知的障害が大きくなるまで見逃されていたと大騒ぎです。

 

 患者さんをどうやって治療し、どうすれば少しでも予後がよくなるか、低下した力をどうやって支援をしていくか、そういう本来精神科を選んだ時にやりたかったはずのことを頑張るのではなくて、いかに見逃されていた自閉症とADHD、知的障害を自分が見つけたと宣言するかを争っています。

 

 患者さんが当たり前にできなくなっていくことを、生まれつきの障害が大きくなるまで見逃されていたのだ、生まれつきの特性だから治療して治るものではなくて、個性と受け止めて良いところをほめて対応していくしかないなどと言って、実質、適切な治療の機会を奪い、できなくなることを増やし、あげくの果てにこれ以上対応できないと投げ出す、こんなことを毎日、毎日、夢中でやっているわけです。

 

 この人達は、こんなことがやりたくて精神科を選んだのだろうか、こんなことをしていて何が楽しいのだろうか、こんなことにやりがいを覚えるのだろうか、患者さんが良くなっていく喜びがわからないのだろうか、と人間性を疑います。

 

 自閉症で知的障害であれば、小学校の普通学級には入れません。

 

 しかし、小学校に入学した時に障害児ではなく普通学級に入学して過ごしていたのに、10代や20代の精神疾患が起こってきやすい時期に、あるいはもっと上の年齢でも、精神科のお世話になると、精神医学のありとあらゆるルールを無視して、知能検査と自閉症とADHDのテストをして、その結果が生まれつきのもので、見過ごされていたのだと言って、平気で自閉症、ADHD、精神遅滞という診断名をどんどん後から追加していきます。

 

 精神障害が起こした問題をみんな小学校の普通学級に入れないような子供達のせいにして喜んでいるのです。

 

 精神障害で問題を起こした人のことを話しているのに、にやにやと患者さんのことを小馬鹿にしたように、自閉だ、ASDだ、特性だ、と嬉しそうに話し合っている人達を見ると本当に胸が悪くなります。

 

 一体この人達は何がしたいのでしょうか。

 

 

 今では、日本の精神科医の仕事はこういう人達の被害にあった患者さんを救うことではないかと思っています。

 

 実際に毎日そうするしかなくなっているのです。

 

 こういう人達のせいでひどい状況に陥った患者さんや家族が次々にやってきます。あるいはこう人達のいうことに騙されそうになっている患者さんや家族もやってきます。

 

 もしあなたが本当に精神科の患者さんや家族を助けたいと思って仕事をしているとしたら、海外の専門書や論文を読んで、精神医学の基本的なことを勉強してください。

 

 日本語で発達障害が見逃されているとかいう人達が書いているものは避けましょう。

 

 私はそんなことを言っている人の書いているものは一切見ないようにしています。得るものは何もありませんので。

 

 

 新しい年が始まりました。

 

 発達検査というでたらめな方法で、でたらめな診断を受け、でたらめな処方を受けていた患者さん達が、診断基準通りの診断、ガイドライン通りの処方でとても良い状態になってやってきてくれます。

 

 私が予想していた以上に改善していてびっくりさせられることもよくあります。

 

 決してあきらめないで、早く騙されていることに気づいて、適切な治療を受けましょう。

 

 あなたが発達障害と思っていたことは発達障害とは別の症状のことです。

 

 受けるべきなのは知能検査ではなく、治療です。