みなさまこんばんは![]()
発達障害が見逃される、気づかれなかった、などと言っている人達は、まるで自分達は臨床能力が高く専門知識が高いかのように自画自賛して、発達障害と診断しなかった精神科医は能力が低く、専門知識がないかのように批判していますが、これは事実誤認です。
よく勉強してまじめに臨床をしている精神科医であれば、きちんと情報を集めて、経験から精神症状を上手に抽出することが出来ます。精神疾患の症状を生まれつきの障害と考えたりしません。むしろ、専門知識があり、能力が高い精神科医であれば、大きくなってからつけられた自閉症やADHD、知的障害などの診断が間違っていることはすぐにわかります。
しかし、こういう診断をした人になかなか面と向かって指摘することが出来ないので、仕方なく自分の患者さんだけは責任を持って診断し直すしかないのです。上の立場にある精神科医や知名度のある精神科医でもこういう人が増えてきたので、おかしいとわかっていても本人になかなか言えません。周りの看護師や精神保健福祉士などもおかしいと思っていても立場上そんなことは言えずに表面的に話しをあわせています。結局、こういう人達は誰からも指摘されず、間違った思い込みのまま臨床をしたり、情報を発信したりしています。
こういう発達障害が見逃されているとか気づかれなかったなどと言っている人達が精神症状をどんどん発達障害と診断してしまう陰には、そうやって間違った方向に進んでしまった患者さんを診断、治療しなおしている精神科医がたくさんいるのです。私の担当にはそんな患者さんがたくさんいます。それなのに、ネットなどではまるでダメな精神科医かのように言われてしまうので、患者さんやその周りの人もこういう情報を鵜呑みにして最初から発達障害のことを見逃すんじゃないかみたいな態度でやってきたりして、本当にやりにくくなっているのです。本当に困っています。
自閉症、ADHD、知的障害のことをきちんと理解している人であれば、大きくなった人にそのような診断をつけることはまずありません。数十年前で疾患の理解があまり進んでない時に生まれた人ならまだしも、最近の若い人であればみんな小さい時に診断されています。
そもそも発達障害を見逃す見逃さないなんていうのは小さい時の話しです。自閉症は出来るだけ早く療育を始めた方が良いので幼児の早い時期に診断された方が良いというのは常識です。と言っても自閉症がおこるのは基本3歳までです。しかし、臨床でみかける、大きくなるまで気づかれなかった自閉症とかいう症例はみんな3歳まではほとんど正常範囲です。その時点で自閉症ではありません。3歳までに確かに自閉症であったという明確な根拠が示されている例なんてほとんど見かけません。
ADHDって幼稚園の時に既に誰がみても明らかに多動不注意で、小学校入学の時に大きな問題になります。でも、気づかれないとか言ってる人達は、子供の時のことを聞いて「多動不注意でなかった」、などと自分が思っていた情報が得られなかったら、自分の判断が間違っていたとは思えずに、大真面目に“軽度で目立たなかった”なんて言ってしまいます。”軽度で目立たなかった”なんて医学的な表現とは思えません。つまり、ADHDという障害があまりにも軽すぎて、明らかな多動でも不注意でもなかったため、先生の目にも周りの子にも正常に見えていた、つまり日常生活が障害されていなかったということですよ。
それって障害ですか?子供の時は正常だったと考えるのが常識的ではありませんか?なぜ、子供の時は正常だった、大きくなってから多動や不注意の症状が出現した、つまり、なんらかの後天的な異常が起こってきている、と常識的に考えられないのでしょうか?
障害という言葉の意味もはき違えていると思います。苦手だったこととか失敗したことを思い出して障害というのは明らかにおかしいです。障害というのは毎日、1日中、どんな場面でも続くものです。忘れ物をしていた、宿題を忘れていて怒られた、ということを思い出したり、部屋の片づけをしていなかったことを思い出しても、それが生まれつきの障害にはなりません。多くの人に同じような心当たりはあります。学校でだけ時々ADHDとか、何日かに1回ADHDとかいうものではありません。本当のADHDの子供を見たことがあればわかると思います。
こういう人達は自閉症ですら”軽度で目立たなかった”などと平気で言います。つまり自閉症という生涯に与える影響がとても大きい障害が、幼児の時は正常にみえて、軽すぎて普通に社会生活を送れるくらいで、進級、進学、就職などが大きな問題なく出来ていた、ということですか?それってもとは正常だったけど、人生の途中から症状が現れたり、出来ていたことが出来なくなってきた、つまりなんらかの異常が起きている、と考えるのが普通ではありませんか?
自閉症の子供をもつ家族や療育に携わるような人がきいたら本当にびっくりすると思います。なんの療育も支援も必要とせずに集団生活や社会生活を送ってきた人が、大きくなってうまくいかなくなってきた途端に自閉症が見逃されていた、知的能力が正常だったから周囲に上手く合わせられていたとか、軽度だったから大きくなるまで目立たなかった(つまり誰も障害があると思っていなかった)なんて滅茶苦茶な考え方です。
今までこういうことを言っている精神科医や心理士を直接たくさん見てきましたが、自閉症やADHD、知的障害のこと、はっきり言って理解していなかったです。専門知識どころか、基礎知識も常識的な感覚も欠けていました。本当にこんな人達に見逃しているとか、失礼なことを言われたくないです。
子供の時は普通だったのではないですか、とか、普通学級で高校ま卒業しているじゃないですか、生活歴に特別な問題はなかったじゃないですか、とか言っても、気づかれない場合もある、とかなんの根拠もなく言い張って怒りだしたりするので話にもなりません。気づかれなかった、見逃されていた、知的能力が正常で補って普通に行動出来ていた、軽くて目立たなかった、なんてよほどの根拠を示さないと言えませんし、自分が思っただけでそんな解釈が許されるなら精神科の患者さんはみんな発達障害になってしまいます。こういう人達の言ってることを読んだりすると、良心的な人達かと思われるでしょうが、正反対でしたよ。患者さんにことを詳しく聞いてないし、見てもない。
こういう人達は自閉症の子供をもつ家族の気持ちを考えたことがあるのだろうかといつも思います。自閉症の子供を育てるのがどれくらい大変で、家族はどれくらい将来を悲観したり、どうやって乗り越えているのかとか、考えたことがあるのでしょうか?しかもそれが一番かわいいはずの幼児の頃に直面するんですよ。正常に成長してきた人を自閉症と診断して、見逃されていたのを見つけた、なんて得意げな顔で言っているのは本当に不快です。
この人達が自画自賛しているように、専門知識があって能力が高いから発達障害を見抜いているのではなく、専門知識や能力が不十分だから精神症状を発達障害と思い込んだり精神症状を見逃しているということに気づていない人ばかりでしたよ。
どうか、発達障害に気づける精神科医を探すのではなく、精神症状を発達障害と間違えない精神科医を探して下さいね![]()