私が精神科での仕事をする上で毎日悩まされている問題が診断書です。
精神科で書く診断書は、休職の診断書、自立支援医療、障害者手帳、障害年金などが頻度が多いのです。
休職の診断書は、何年何月何日から何ヶ月休む必要があります、といったその日の時点での状態を書けばよいので、そこまで大きな問題は起きにくいのですが、自立支援医療、障害者手帳、障害年金などの診断書はいったん受けてしまえば定期的に更新するわけで、以前の診断書に明らかな問題があると、あとで更新の時に非常に困るのです。
以前はうつ病だったけど、その後の症状に変化があり、双極性障害や統合失調症に変更になるということなどはしばしばあります。
しかし、私が毎回説明しているように、ここに発達障害が加わってくるのです。
もちろんそれが正しい診断であれば問題ないのですが、最近みかけるのは明らかに間違った診断書ばかりなのです。
よくあるのが、自閉スペクトラム症と診断をつけておきながら、診断書に書いてある病歴が幼児期から始まらず、高校卒業後とかから始まっているのです。もちろん明らかに別の診断名をつけるべき病歴なのです。処方されている薬の記載をみても、統合失調症や双極性障害らしき処方であることがよくあります。
この人達は自閉スペクトラム症が幼児期に生じる障害であることすら理解していません。
また、こういう診断書の検査結果のところに、必ずと言っていいほど知能検査の結果が書かれています。
何度も説明しているように知能検査で鑑別や診断することはできません。
その精神疾患によくみられるような知能検査の所見、つまり認知機能障害を示しているのです。
こういう診断書を書く精神科医は認知機能障害のことを理解していません。
そして、知能検査が凸凹しているのを書けば、自閉スペクトラム症の診断の根拠を示したと思っているのです。
ADHDも同じです。
主病名が双極性障害やうつ病となっているのに、合併としてADHDが書かれているようなこともよくみられます。
これもまた、病歴が高校以降くらいから始まっているのがよくあります。もしくは申し訳程度に小学校時代に忘れ物が多かったなどと書かれています。もちろん小学校時代に忘れ物が多いというだけでADHDの診断になることはありません。
幼児期から異常がないとおかしいのです。
そしてまた知能検査の結果です。もちろん病歴は双極性障害やうつ病の病歴ですし、不注意や集中力の低下が双極性障害やうつ病の症状であるのが明らかです。知能検査の結果は双極性障害やうつ病の認知機能障害を示しています。
また、ひどい場合はこれに知的障害とか精神遅滞が合併症としてついていることもよくあります。しかも、それが普通学級で中学や高校まで卒業した人であることがほとんどです。双極性障害の人が知能検査をすれば発症前の能力より低くでるだろうというごく当たり前のことがわからないのです。
これらは素人が見てもおかしいと思うレベルだと思いますが、こんなひどい診断書が非常に増えています。
書いてある内容も矛盾だらけで自分の責任で同じ内容のものはとても書けません。
また、診断名を変更すれば、等級が変わるかもしれません。本人や家族にも説明して、理解してもらわないといけません。
結局、念のために詳しく生活歴や病歴を聞き取りしなおして、明らかに診断がおかしいことに納得するように説明しないといけませんし、診断書をほとんど書き直さないといけません。非常に労力を要します。
私はこのような作業を日々行なっていますが、このようなひどい診断書を書いている精神科医は、結局同じようなひどい診断書を書き続けています。きりがありません。
一体いつまでこんなことを続けるつもりなのでしょうか。