精神科医にとっては当たり前すぎることのはずですが、最近の日本では
こんなことすらわからない精神科医や心理士がたくさんいます。
精神科ではバイオマーカーがない。
つまり、画像であれ採血であれ、この所見があれば確定できるという検査がないのです。
だからこそ、世界中で遺伝子とかのレベルまで掘り下げてたくさんの研究者が汗水ながして研究して論文を書いているのです。
特に精神科において最も重要な疾患である統合失調症は、症状が多彩で、経過も個人差が非常に大きいことから、確定できる検査があればよいのですが、まだみつかっていません。
こういうことは精神科医が読むような論文の冒頭であるとか、レクチャーで耳にタコができるほどに聞くことです。
なのに、これがわからない人が本当に増えているのです....。
つまり、統合失調症はいきなり幻覚妄想や奇妙な行動から始まるわけではありません。
不眠から始まることも多いし、うつから始まることも、強迫症状から始まることもあります。
それが年月と共に症状の程度が変化したり、症状が増えていったりしてだんだんと統合失調症の状態に近づいていくことが多いです。
では、不眠やうつ、強迫などの時点で統合失調症が診断できるでしょうか?
それはできません。
それはバイオマーカーがないからです。
では妄想があるから統合失調症と言えるでしょうか?
そうとも言えません。
妄想の性質によっては統合失調症以外の疾患、例えば、うつ病や躁鬱病でも起こりえます。
それを区別できるバイオマーカーはありません。
もっともっと多くの精神科の知識やエビデンスにもとづいて診断する必要があります。
うつ病なども同様に確定できる検査はありません。
確かにうつの症状をチェックするようなテストもたくさんありますが、それでうつ病を確定できるわけでもありません。
チェックがたくさんついたとしても、それが統合失調症の始まりであるか、躁鬱病の始まりであるかなどわかりません。
本当のうつ病かどうかは長期間治療や観察をしないとわからないのです。
そういった意味でも精神科とは確定診断というのがなじみにくい科です。
ただし、精神科で治療する認知症やてんかんなどは別で、これら器質的な要因で起こるものは、画像検査や脳波などの検査で確定診断ができますが、精神疾患とはやや異なる疾患です。
さて、こういったことは一般の人にはなじみがないことかもしれません。
やはり、状態がよくならないまま年月がたっていくと、家族や周囲も困ります。
そして、検査をして診断してもらおうとする人がいるのもしかたないことです。
そこで、精神疾患に関するテストなどを受けるならまだしも、なぜか、最近の日本の精神科医や心理士はここで知能検査をするのです。
何度も申し上げていますように、知能検査では何も診断できません。
その日の認知機能が反映されます。
いくらその結果が凸凹していてもそれで何かの診断ができるわけでもありません。
精神疾患でも本当の発達障害であっても似たような所見になります。
うつであったり、気分が高揚していたり、薬を飲んでいたり、いろいろなことが影響します。
なのに知能検査をしようとする人が多いのです。
また、医療関係者ですらない人、学校の先生などが知能検査をしてもらいなさい、などと言うことも増えています。
精神疾患のことを知らないので、なんでも発達障害に結びつけようとするのです。
発症していく過程での知能検査の結果と発症した後の知能検査、治療した後の知能検査、慢性化した後の知能検査、同じだと思っているのでしょうか。
知能検査で精神疾患か発達障害かが区別できれば何も研究する必要がありません。
そんな方法を見つけたら一躍世界の有名人になれます。
精神科に受診する人みんなに知能検査をすればよいのです。
精神科や心理学の論文でも知能検査で診断する方法がもっとメジャーに使われるはずです。
しかし、診断基準のDSMやICDにもそんなこと書かれていません。
だから、海外の論文でそんなこと書かれていません。
こんなことをしているのは日本の精神科医や心理士だけでしょうか。
検査をしたら自閉症だとわかった、とか、検査をしたらADHDだとわかった、というのをよく見かけますが、基本的に違うと思います。
何度も書いているようにそんな検査ありません。
そんな検査を開発したら歴史に残る研究者になれます。
ただ、何も知らずに間違ったことをやり続けている精神科医や心理士がたくさんいるのです。
心理士が間違った所見を書き、間違っていることすらわからない精神科医が診断をつけているのです。
本当にやめてほしいです。
知能検査をしたら診断ができるかのように言う人のことを信じてはいけません。