発達障害が気づかれなかった、見逃されていたという人達は障害者に対して何も良いことはしていません。

なぜこんな風になってしまうのか不思議でなりません。

 

精神の異常というのは、常識的に考えればわかりそうなものですが、自分の精神が異常とは自覚できません。

これが他の体の病気との決定的な違いです。

自分が病気であるという自覚のことを病識とよんでいますが、精神病では病識が得られいくいのです。

 

体の病気であれば、苦痛な症状があって自分の体の状態が正常ではないから治してほしいと思い、治して楽になるため、元の生活に戻れるように治療してもらおうと思えるわけです。

そうして病院を受診するわけです。

 

しかし、精神の異常というものは最初は違和感を感じたりしていても病気が進行して本格的に治療が必要な状態になると、自覚できなくなるわけです。

あなたの精神は異常です。と患者さんに言っても確かにそうですねとならないわけです。

 

最初は自覚がなくても、なんとか治療を受けることができた後に、確かにあの時は自分もおかしかったと認められる患者さんもそれなりにいらっしゃいますが、その異常な時期のことは記憶に残りづらく、自分が病気であるという自覚が持ちにくいのです。

あるいは、もう大丈夫だから薬を飲んだり治療を続ける必要はないと思い込んで、治療や薬をやめてしまうことが非常に多いのです。

 

そして時間が経つと悪化したり再発したりするのです。

 

そのため、症状が再び悪化しないようにいかに薬を続けられるようにすることが非常に重要で、精神医学の世界では、色々な研究や工夫がなされてきたわけです。

中には定期的に1ヶ月や3ヶ月の間効果が持続する筋肉注射を打っている患者さんもたくさんいます。

 

精神病が再発すると、多くは回を重ねる毎に症状が重くなり、薬が効きにくくなり、治療が難しくなります。

そして認知機能障害が悪くなり、社会的機能も低下します。

 

再発すれば前に効果があった薬を再開すれば元に戻るというわけではないのです。

再発した場合の大変さを知っている精神科医は、患者さんがやめたいと言っても続けられるように工夫や努力しています。

 

しかし、こういった基本的なことがわかっていない人は、良くなった患者さん、つまり寛解した状態の患者さんを見て、とても精神病には見えない、誤診ではないか、などと言い出します。

 

病識が持ちにくい患者さんに、あなたは精神病ではないかもしれない、と言ってしまうと、患者さんは、自分は精神病ではないのではないか、精神病と言われるのは嫌だと思っていますから、すぐにその意見に飛びつきます。

 

そして、精神病によって症状が寛解しても問題となる、認知機能障害や社会的機能の低下のことを理解せず、発達障害が大きくなるまで見逃されていたととんでもない勘違いをしている医師と心理士のところへ行って、全く意味のない知能検査やADHDのテストを受けさせられ、あなたは精神病ではない、発達障害なのに前の医師は見逃していたのだと出鱈目なことを吹き込まれます。

 

患者さんのために頑張って治療した精神科医は実は悪者で、自分は正義の味方というわけです。

 

そして一番重要な精神病を治療する薬をやめてしまったりします。

しばらくは眠気とか倦怠感を感じなくなったり、頭がスッキリしたような感じで、すごく調子が良くなったと感じたりします。

しかし、精神科医なら誰でも知っているはずのエビデンス通りに半年とか1年とかある程度の時間が経つと見事に再発してしまいます。

 

生まれつきの障害だったはずなのに再発?悪化?(こういう人達はどう理解しているのかよくわかりません)しているのです。

 

もちろん認知機能障害はより悪化し、社会的機能も大きく低下しています。

つまり、こういう人にとっては発達障害がより重度になったと見えるようです。

そして、自閉症やADHDが重度でうちではもう対応できないとか言って見放すのです。

 

さて、こういう患者さんを次に治療することになる精神科医の立場はどうなるでしょう?

同じレベルの精神科医なら、同じ診断にしてしまい、その先はもう想像できません。

 

しかし、まともな精神科医であった場合は、非常に苦労するのです。

ただでさえ、病識が得られにくい病気なのに、患者さんは、前の先生は病気でないと言ったなどと主張し、治療がとても難しくなるのです。

精神状態が悪化しているので、こちらの説明はなかなか通らず、自分は発達障害だと怒って薬を飲まなかったりします。

 

それでも苦労して治療して改善したとしても、病気ではない、生まれつきだと言った人の言葉がことあるごとに出てきて、それは発達障害ではないからと何度も説明しないといけなくなり、さらには、また治療を中断してしまったりするのです。

 

こういう人を治療するのが日常的になってしまいましたし、苦労してせっかく良くなった患者さんもこういう人の無責任な発言で治療をやめてしまったりしています。

 

数えきれないほど嫌な思いをしましたし、何より患者さんや御家族のことが気の毒でなりません。

 

本当にこんな無責任なことはやめてほしいです。