お古のパソコンと老人
ひとは時として、自分を特別な存在と思っている。
自分は普通でなく、スペシャルなんだ。
だが、その想いは根っこがなくすぐに揺らぐ。
そして些細なことが起きて落ち込むと、自分のあまりにも不出来なことを嘆く。
お古のパソコンと老人は同じ。
データが満載で新しい情報を取り込めない。
新しい情報を取り込まない人が多い。
過去に蓄積されたデータを巡回している。
老人の頭の中も同じ。
過去の成功、失敗、感情などに浸りきる。
ハードディスクが満杯なので、新しいデータを取り込めないのは当然のこと。
この事実に気付いていない。
この現実に気付いていない。
新品で買ったばかりのパソコンは、起動も早く、データもたくさん集積できる。
お古のパソコンは使っているうちに起動も遅くなり、動作が重くなっていく。
時に不要なデータもそのまま置いておき、削除しない。
そのうえにまた新しい情報を書き込んでいく。
無限のハードディスクがあれば別だが、瞬時に必要な情報にもアクセスしにくいだろう。
なにしろ情報が膨大になりすぎて、どこに探しているものがあるのか見つけるのに時間がかかる。
お古のパソコンは買い替えればいい。
お古の人間は、新しく取り替えることが出来ないだろう。
お古の人間を刷新して、軽い状態にするにはどうすればよいか。
それについて考えて、軽快になる動作ができることを自身で望む。
行動を起こせば、今の重い状態の現実から脱却できる。
その気になれば、ひとはいつでも新しい知識を取り入れ、変化することができる。
お古の人間でも変わることが出来るのだ。
新しい情報、かつてのような軽い動き。
それを獲得するか、放棄するか。
それは人それぞれの選択になる。
自由ということ。
古いデータを周回し続けることを望むのか。
それとも新しいデータを蓄積できる状態に変わろうとするのか。
選択はそのひとしだい。
わかっているのなら、賢明な判断を望まれたい。
