みなさん、おはようございます。

 

ドムドムバーガーが懐かしい、植田です。

 

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「タカシ! く ・ ぅ~ん♡」と、なにやら、フリルのついたエロいエプロンのような声をかけて、自転車を降りたのはカオルだった。

 

カオルとタカシについては、コチラのエントリー


タカシは振り返った。

この前のオルグの後の歌声喫茶「浅間山荘」で途中で行方をくらませた、カオルが自転車のわきに立っていた。

 

自分の声で朗読した憲法条文をスマホ(Andoroid)で聞いていた、タカシはイヤホンを外し、とっさにポケットに押し込んだ。

 

カオルは、タカシとの間合いを風のように詰めて、、上目がちに覗くように話しかけてきた。

 

「この前のイベント、どうだった? 面白かった?」

 

胸の谷間が、チラとモロの間の危険角度を形成している。

結構でかい。


おまけに、この匂い。怪しい蝶が鱗粉を撒き散らすかの如く、風上から狙いを澄ませて、

タカシの大脳新皮質を麻痺させる明確な意図が感じられる。


ザ・ピーナッツの歌声まで聞こえる。

すでに幻聴が起こっているのか?

 

「ハニートラップ」

タカシの脳裏には、ピンク色で外周が滲んだグロー文字が、浮かび上がる。

 

『来た!』

『この女』

『やる!』

タカシの脊髄から、警戒指示が発令された。レベルは3.141592(以下略、π近似)にハネ上がった。

 

この前のイベント。そう、起業家クラブのミーティングで、この女が会長のヒロ(カオリの秘密のカレシ、コチラのエントリーを参照)のツレであることは、明白だった。

カラオケの途中で姿を消した後の行動も大方の予想はついていた。

 

なによりも、履いているナイキのモデルはあのヒロとお揃いであることをタカシは早々に見破っていた。
気付かれないように巧妙に隠していたが、ふたりともピンクの厚底だった。

 

俯瞰したイーグルアイを持つこと。公務員の必須特性である。

実は酒にもめっぽう強い。

アルコール度数96度のスピリタスでも、理性はびくともしないし、

逆に、純度テンナインの純水でも酔ったふりする自信もある。

酒は飲むものであって、飲まれるようでは、出世はおぼつかない。

 

ざわ・・ざわ・・

 

「そっかー、そっかー、タカシ君ベンチャーとか、アンマリ興味がないんだー」

軽く、ジャブを打ってきた。

 

「そうかナ、そー、見える?」

冷静に、スウェイで流す。

 

『あるわけネーヨ』と心でつぶやきかけたが、それを言語にする以前に心の奥底に沈める。

ふとしたことで、表情に出てしまうのを未然に防ぐためである。

表情を読み取られないことも、役人の心得だ。

思ってもみなかったことにする。

だから、水面は動かない。心は引き締まっている。

これでいい。

脈拍も正常。

出発進行。よーそろー。

 

外面は、徹底的に鍛えられている。

仮に、この女が「サトリ」でも、この鉄壁の防御は突破できまい。

 

 

カオリが続けて仕掛けてきた。

「時間ある?ねー、これからお茶しない? 私タカシのコトもっと知りたい・しぃー」

 

一気に心理戦に突入した。

カオリのピンクの触手が、タカシの精神に侵入してきた。

シンクロされる。

 

慌てずATフィールドを張る。

「ちょっとならいいけど、家で夕食をたべることになっているから。。軽くね」

 

断るわけでもなく、かといって全面的に相手のペースにのらないように、布石を打つ。

「軽くね」がどの言葉を修飾しているかは、わざと明示しない。

「行けたら行く」の渡る世間の高等テクニックである。

このくらいできないと、公務員試験はハナから絶望である。

 

ふたりとも静かに談笑しているかのようであるが、

さながら、憲法、もとい、拳法の達人同士が

常人には見えない奥義の四十八手、もとい、千手観音のごとく繰り出しているかのようである。

それはさながら、ケンシロウ V.S ラオウの対峙のようでもある。

 

イナゴもダンゴムシもカエルもオケラも帰宅途中のおっさんもびびって逃げた。

二人の影が長びる頃合い。

かすかな空気のゆらぎに乗せるように、カオルの乾坤一擲の波動が放たれた!

 

「じゃあ、行こう!ロッテリアでいい?」

カオリの瞳の虹彩が、相手の出方を探るようにかすかに振動する。


「ロッテリア? ああ、いいよ」

タカシは、脇を固めて、不敵に笑いながら受けて立った。

髪の毛程度の気のゆらぎも立てない完全な防御である。

力と力がせめぎ合っているが、あたりは全くの静けさを保ってる

すすきが夕日の静かに薙いでいる。

ヒグラシの鳴き声が遠くまで透き通っている。

表向きは。

 

 

タカシは、瞬時にロジカルシンキングを開始した。

瞬時にポジショニングマップが、前頭葉にプロジェションマッピングされた。

 

 

「ロッテリア」

 

タカシのシナプスを微弱電気信号が駆け巡り、ディープラーニングが言語翻訳した。

 

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「し、信じられん、あれが世に聞く「露照亜」か。」

「なにっ! 知っているのか? 雷電」

「うむ。 ここに、誘われたら、気をつけたほうがいい・・・」

 

注釈 : 又の名を「露照亜」ともいう。

かつて、4千年前の中国の秘所にて繰り広げられた幻の拳が発露される場所である。

男の本性を露わにし、照れ隠しを引っ剥がし、最後は凋落するという、秘所中の秘所。

今では、西洋風おにぎり店に姿を隠しているが、永々脈々と引き継がれているとう。

出されるメニュー、雰囲気、価格帯から「友達以上恋人未満」のコンセプトをガンと打ち立てている。

相手とのフォースの相性を見定める過酷な場所である。

 ここから脈アリとなれば、次回からはモスで照り焼きバーガーとなり、二人で口元を拭きあう、イチャつく仲になれるが、

 脈ナシと判定されれば、マックでハッピーセット。ただ同席して、スマホで別々にSNSだけする、どうでもいいダークサイドに堕ちてしまう。

 

フォースとともにあらんことを願うばかりである。

 

(潘爆駕亜諸譜(民明書房刊行)より抜粋)

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ロッテリアという選択。

タカシとの距離感といい、ヒロ(カオリの秘密のカレシ)との距離感といい、絶妙である。

まったりとしていて、しつこくない。

コクが有るのに、キレがある。

ストライクともボールとも取れる、絶妙のコントロールだ。

コンマ1mmの違いじゃね(達川)なのだ。

 

その場にヒロと出くわしても言い訳が立つし、タカシに対しても特別感をビミョーに演出できる。

全てが、

計算づく。

もはや

絶対的な事実。

圧倒的に明々白々。

 

先手を取られながら、タカシは思う。

敵ながら(別に敵じゃないけど)、あっぱれじゃないか。

ヒロのカノジョにしておくには、もったいない。

 

タカシは、カオルのチャリを押して一緒に歩き出した。

二人の影が重なり合う。

 

夕陽の逆光の向こう側、ススキの穂の隙間から二人を伺っている女の目があった。

 

栄光塾の帰り途で、関浩二を待ち伏せしていたタカミザワミチルだった。

 

つづく。

 

次回予告 「栄光塾の謎」

タカミザワミチルは、タカシの通う平凡学園大学に、帰国子女枠で編入した帰国子女だった。

「栄光塾」とは?、 関浩二となにものなのか?

タカミザワミチルの真の目的とは・・・、

次回、衝撃の事実が明かされるとき、物語は急旋回で天空高く舞い上がる。

タカシとカオリの運命やいかに!?