〜生死を彷徨い続けた14年間の壮絶な



こんにちは。

あさのちづこです。



過去、結婚に対してとても臆病だった頃

の話。

 

 

当時の私は、大学病院の精神科を退院し

1年半が過ぎた頃で、精神状態はかなり

安定しており、外から見ると

割と普通の人でした。

 

 

でも内側はそうではありませんでした。



 

長いうつの時期に何年間も

極度にネガティブな思考を

繰り返してきた事で

 

症状としてはかなり落ち着いて

いたものの、私の内側には極端

に狭い思考がべったりと

へばりついていました。

  

 

苦しみが長ければ長いほど

たとえある時そこを抜けたと

しても

 

内側にへばりついたものまでが

きれいに剥がれ落ちるまでは

少し時間が必要なのです。

 

 


当時、私はなぜ結婚が

怖かったか?

 


(それでも、結婚したい!と

思えるようになったことは、

当時大きな進歩ではありました)

  

 

いくつか理由はあったけれど

一つ、大きな理由がありました。

 


 

他人が聞いたら、呆れるような

話かもしれないけれど、

  

 

私は真剣に、あるシチュエーション

に怯えていました。

 

 

それは


 

義理のお母さんに「りんごを剥いて」

と頼まれるシーン。

 

 

誰かと結婚したら、きっとそんな日が

やってくるでしょう。

 

 

でも、私はりんごの皮を剥くのが

下手くそだったのです。

  

 

いや、りんごだけじゃなく桃も洋梨も。

 

 


いや、今思うと下手くそというよりは

そもそも経験値が浅かったのです。

 

 

 

当時、私がりんごを剥くとさっきまで

つるんと皮を光らせ


自信満々だったはずの果物が、

ガタガタの顔をして泣いていました。

 

  

当時の私は一生懸命考えました。

 

 


「そうだ、ピーラーで剥くのは

どうだろう?」

  

 

じゃがいもならピーラーで剥いても

何一つ不思議はないわけだし。

 

 

でも、もし息子の嫁がピーラーで

りんごを剥きはじめたら

 


義理のお母さんは心底呆れ果て

息子たちの結婚を認めた事を

きっと後悔するだろう...

 

 

やはり、ピーラーで剥くわけには

いきません。

 



ならば、私は

 

「りんごの皮くらい剥けるに

決まっているしゃないですか」

 

とでも言いたげな余裕の表情で

包丁を使って上手に剥くしかない...

 

 


いや、でも剥けないのに!?

   



 

 ああ、やはり結婚については

りんごの皮を剥けるようになって

から改めて考えよう。


 


はぁ...ため息。

 

 


35歳を過ぎて、本当にこんな調子

でした。

 

 


そして、りんごの皮を剥く練習を

することもありませんでした。

 

 

 

時は経ち今年のお正月、私たち

家族は大樹の実家でお正月を

迎えました。

 

 

お義母さんが、せっせとお昼ご飯の

用意をしていたので

ふと口にしました。

 

 

「何しましょう?」

  

 

「あ、じゃあちづこさん、

この皮剥いてちょうだい」 

 

 

 


あぁ、これは私が5年前に毎日

恐れていたあの光景!

 

 

結婚したら、いつかやってくるに

決まっていると思っていたけど 

 


ほ〜ら、やっぱりやってきた!

 

 

 


さて、どうなったか?

 

 

 


私は、「はーい」と答えて

皮を剥きはじめた。

 

 

 

もちろん、お義母さんや大樹の

ように、美しくは剥けないし、

そんなにスピードも出ない。

 

 


でも、誰が私にそんな美しさを

求めているだろう?


 


誰が私にスピードを求めて

いるだろう?

 

 


誰一人そんなもの求めていない。

 

 

 

私は、いつものペースで

皮を剥いた。

 

 


そう、あんなに恐れていたけれど

結婚してからは、なんだかんだ

で下手くそながらに

 

いろんな野菜や果物のの皮を

剥いてきた。

 


 

たいくんがりんごを食べたいと

言えば

 


「ママは、下手くそだから

無理なの」



なんて言い訳が通じるはずも

なかった。

 


 

知らず知らず、必要だったから

経験を重ねることができた。

 

 

この世界は、必要な事が必要な

タイミングで起こるように

なっているのだから。

 

 

私が恐れていた現実がやってくる

ことなどなかった。

 

 

あれだけ恐れていたのに。

 

 

 

 

自分にとって望む未来をイメージ

したとき

 

一方では、今そうでない自分を

突きつけられる。

 

 


強く願えば願うほど、今そうで

ない自分がはっきりと

浮き彫りになる。

 

 


時にそこに恐怖を感じる。

今の自分を認められなくなる。

 

 


でも、それで大丈夫だったんだ。

 


 

そんな自分に気づいてあげ

ればそれでよかったんだ。

 

 

自分にとって望む未来が

やってきた時、本当に変わるのは

現実そのものではなく、

 

自分の内側。

 

 


だから、本当にこう在りたいと

思ったら、そう決めるだけで

いい。

 

 

今の頭で、できない理由を

考えなくてもいい。

 

 

現実とは全く無関係に

 

「私は運命の人と結婚する!」

 

そう決めるだけでよかった。


 


ちゃんちゃん




〜生死を彷徨い続けた14年間の壮絶な