現代語以上、古文未満 | 進学教室FiveSchools OFFICIAL BLOG

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今から、すごくおっさんくさいことを言いますよ。

 

「最近の若者は本当に言葉を知らない!」

 

すごいでしょう。

「老害」という2文字がありありと眼前に浮かび上がってきます。

で、何が言いたいかと言うとですね。

 

たとえば、「時代劇」です。

時代の変遷、メディア・コンテンツの多様化により、「時代劇」ってぜんぜんやらなくなっちゃったじゃないですか。

 

あと、われわれが小さいころには、結構「三国志」みたいな横山光輝的作品とか、ああいう漫画がそのへんにころがってたりしてませんでしたか。

学校の図書室で読んだ人もいるでしょうし、なぜか通っていた近所の英会話学校に三国志が全巻並べてあったりもしました。(なぜ)

 

そういう「ちょっと古臭い」言葉づかいのコンテンツ、つまり文語的語彙を自然な形で使う場面、耳にする場面が今は少なくなってしまった気がするんですね。

いや、本当にごく一般の小中高生の手に届く範囲に、という意味でですよ。

まぁ大河ドラマとかは今でもありますけど、そもそもテレビ自体そんなに見ないじゃないですか今の若者。

そういうわたしももうテレビのない生活を10年以上送っているのですが。

 

すると、そういう環境下で育つ生徒たちの日本語能力にも少なからず影響が出るわけです。具体的には、

「古文単語、というほど古くはない」

「だけど、現代語にしては格式が高く、古めかしい」

 

こういう文語的な言葉を、ここでは「現代語以上、古文未満」の単語と呼びましょう。

この「現代語以上、古文未満」の単語を知らない生徒たちが増えたという実感が、古文を教えていて非常に強く存在しているんです。

 

そうですね、具体的には……

たとえば「いざなふ」という単語。

 

今でも

「あなたを、すてきなクラシック音楽の世界へといざないます」

みたいに使うといえば使うわけです。

 

かと言って、じゃあ高校生が日常的に使うのか、と言われたらまぁ使わないですよ。

「オレ、明日彼女を映画にいざなうわ」とか言わないでしょ。

こういう感じの単語のことを言ってるわけです。

「えぇっ、『いざなう』なんて知ってて当然でしょ?」

とお思いでしょうか。

意外とそんなことないですよ、マジで。

 

いや、生徒にも説明すれば伝わらないことはないですよ。

 

「あっ、言われてみたら聞いたことがある」

 

みたいな反応は帰ってきます。

でも、自分で長文を読んでいるときに「当然の知識」として使いこなすには至らないんです。結構な有名高校の生徒でもそうですよ。

 

なんでこういう事態になってしまったのでしょうか。

 

こういう「現代語以上、古文未満」の単語にわれわれの世代はそこまで抵抗がないというか、普通に自然と意味を理解していたりするわけです。

おっさんになったから、ではなく中学生・高校生の時点でも。

もちろんそうじゃないという人もいると思いますけど、自分の周囲の人間も思い出しても、一般的な傾向として今の生徒たちよりは理解できていただろうと思うんですよね。

 

というのは、昨日も「時代劇」の話をしましたけど、それ以外にもテレビなり漫画なり、そういったコンテンツから自然と学んでいたんだと思うんです。

 

ゲームもそうでしょう。

ドラクエで「まどろみの剣」ってあったじゃないですか。

だから、ドラクエやってる人間は「まどろむ=うとうとと眠る」という意味だということを、特に勉強することもなく自然と理解していた。

 

昨日例に出した「いざなふ」にしても、

「貴様を死の世界へといざなってやろう」

とか、中ボスあたりが言いそうじゃないですか。

だから、案外勉強ぜんぜんしてなくてゲームばっかりやってるようなやつが、当たり前のようにこういう言葉を使いこなしたりするわけです。

 

ゲームにしても、今はいわゆる「ガチャゲー」が主流になりつつあって、そんなにストーリーのキッチリした、クリアまでウン十時間かかるようなRPGとかやる人は多くない時代なわけです。

「放置系RPG」とはわたし毎日やってますけど、あんなの誰もシナリオ読んでないですよね。

 

あとちょっと特殊な例ですが、われわれ世代はオウム真理教直撃世代ですから、「解脱」「輪廻転生」などという言葉も自然と身についていたところがありますね。

コレ、結構仏教説話を読むときに役立ったりしたんですよ。

 

このように、自然と「ちょっと古めかしい語=現代語以上、古文未満の語」を学ぶ機会がこの世の中にはなくなっているんじゃないか、というのが今日のブログで言いたいことなわけです。

 

そういう機会や環境を失った生徒たちは、どこでこういった言葉を学ぶのか。

 

ガチの「古文単語」なら、ちゃんと勉強する生徒たちは勉強します。

古文単語帳を使って。

 

もちろん「誰でもわかる当たり前の現代語」なら、別に勉強せずとも当然使いこなせます。現代語ですから。

 

無いんですよ。

こういう「ちょっと古めかしい言葉」「現代語以上、古文未満の語」を勉強する機会が。

 

古文単語帳を作る立場から見れば(一応古文単語帳著者です)

「そんなの現代語だから、覚えるようなことじゃないでしょ」

と言わざるを得ないんです。

「いざなふ」「まどろむ」レベルまで古文単語扱いしていたら、どんだけブ厚い単語帳になってしまうか。

 

だから、生徒サイド、保護者サイドで意図的に読書なり、ちょっと古い時代モノのコンテンツを摂取する/させるようにしないと、全く身につかないまま大人になってしまう気がするんですよね。

コレといった明確な解決策をこの場で提示できないので、あまり歯切れのよい締めくくりができないんですけど。

 

わたしの授業では、意図的にそういう「現代文以上、古文未満」の語もキッチリ解説入れるようにはしていますし、このブログに書いたような話も直接生徒にしたりはするんですけど、なかなかねぇ。根本的な解決にはなりにくいというか。

そういう「微妙に古めかしい」語だけを集めた「現代文以上、古文未満の単語帳」とか作ってみても面白いのかな、と思ったりはするんですけど。

 

わたしはわたしで授業の中でよりしっかりと伝えられるように今後も努めていきます。

各ご家庭では、とりあえず子どもが小さい段階で横山光輝作品あたりを買って並べておくとかはやってみてもいいのかもしれません。

梶原一騎作品とかも結構古臭い言葉を自然と学ぶにはいいんですけど、ちょっと内容的に教育に悪そうな気もしますしねぇ。

 

いや、結構コレは古文の理解の妨げになってると思うんですよね。本当に。

 

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