友人の童話作家、野々口は第一発見者であったため、自身が見聞きしたことを手記にまとめ、刑事に提示する。
しかし、その手記が原因で、彼の犯行であったということが暴かれてしまう。
野々口は犯行の隠蔽のために手記を用意したのだ。
だが、犯行については多く語らない野々口。
なぜ日高を殺害しなければならなかったのか。
複雑で心理まで絡まった難解な謎に加賀恭一郎が挑戦する。
犯人は、最初の段階であっけなく逮捕されるが、この小説は動機が何なのかがメインストーリー。
語り手や文体がコロコロ変わるが、この構成でないとこの小説は成り立たない。
野々口の真の動機は、劣等感、嫉妬、嫌悪感、そして「なんとなく奴が嫌い」で、日高の人間性をおとしめること。
しかし、このような理由で殺人を行うには、あまりにも動機が希薄であり、確かな動機らしい動機が必要だと考えた。
最近動機が希薄な小説ばかり読んでいたので、新鮮に感じた。
野々口の動機には騙された。
まんまと、日高の人間性が残酷だと思わされた。
衝撃だったのは、真の動機であり、これだけのことで殺そうと考えてしまうことこそが、本当の悪意であると思った。
人間って怖い…。