我々のミッションとは何か? P・F・ドラッカー
継続と変化を可能にする力
ジム・コリンズ
「「我々のミッションは何か?」という簡単な問いが、継続と変革を可能にする。偉大な組織は、全て本質を維持しつつ進化していく。変わらぬミッションに従いつつも、改善とイノベーションを求めてやまない。ミッションを不変とするがゆえに、変化に呼応して、行動、規範、戦略、戦術、プロセス、構造、方法を不断に変えることが出来る。」
ある企業は、社員寮に住んでいる社員を対象に、3ヶ月に一度引っ越しをすることをルールとしていた。業者には頼まず、全て自分たちで行う。東京で7拠点ある住まいのシャッフルが行われる。自然と荷物は簡素化され、残るべきものが残る。
荷物の運搬を担当する者、荷物の受け入れを担当する者、荷物がはけた後の掃除をする者。役割は生まれ、トラブルが起きても即時解決の為に全体が動く。次の日には何事もなかったかのように、一日が始まる。
ある企業は、一年の内に1000人規模のイベントを東京、福岡、札幌の3拠点で行った。
各拠点のメンバーが核となり、実行委員会を設立。スケジュールを立て、あいさつ回りをし、協賛金を募り、会場からパンフレットまで、全て各拠点のメンバーで行なわせた。
売り上げを上げたいのであれば、営業に力を入れた方がずっといい。
全員が大規模なイベントなど経験したことはないのだ。無駄なロスは計り知れない。しかし、まったくやったことのないことをやりぬかせた。
あるグループ企業は、数千人もいる社員に2030年のビジョンを語らせた。チームを作り、ディスカッションをさせ、多数の前で発表させた。管理職、取締役も含め、全員参加とした。
1年後、オーナー社長が社員、顧客の前で2030年ビジョンを語り、時代を創出する壮大さを表現して見せた。
「ミッションは、何を行うべきかとともに、何を行うべきではないかを教える。」
ミッションは無限大であるべきであるとドラッカーは言っている。
無限大の中には、68億人が入っていて当然である。
68億人を相手にするのであれば、“私ごと”にはまる思考・イメージでは、バランスが取れない。むしろ、自分と68億人との共通点を探さなければならない。
先に紹介した3つの事例は、一般的な企業のイメージでは創造もつかないことだろう。雇われる側と雇う側の関係性であれば、人は動かない。
選択するには、何を放棄するべきかを明確にすることだ。
放棄すべきは、存在や環境ではない。