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■米国航空各社、中国の新たな空域要求に従う(U.S. airlines complying with China's new airspace demands)
米国航空会社の関係者らは、中国が新たに宣言した防空識別圏を飛行する際には中国側に事前通知するよう求める米国国務省の新ガイダンスに従っていることを明らかにした。
関係者らが30日に明らかにしたところによると、外国の領土を飛行する際には従来から該当国に連絡しているため、今回の措置に伴ってアジア向けのフライトに混乱が生じることは無いという。
米国の航空業界団体エアラインズ・フォー・アメリカのケイティー・コネル広報担当は、「米国航空各社の運航は通常通りだ。我々は米中双方の民間機担当当局と連絡を取り合っており、フライト通知に関する標準的な国際手続に従うことを継続している」と述べた。
米国政府は中国の新規要求を認めていないものの、中国当局が23日に宣言した新たな「防空識別圏」を飛行する際には事前通報せよという中国側の要求に従うように米国航空各社に指導したことを、米国国務省は29日明らかにした。国務省のジェン・サキ報道官は、東シナ海地域での安全運航に必要と考える全ての措置を取るよう米国航空各社に指導している、と述べた。
米国航空会社の関係者らは、今回問題となっている空域を飛行する民間路線の乗客数に関するデータは提供できないとした。
専門家らは、今回の状況は民間機の運航に大きな影響は出ないであろうとする一方で、地政学的な意味合いは非常に大きいと指摘する。ヘリテージ財団で中国の政治・安全保障を専門とするディーン・チェン上級研究員は、中国は「非常に挑発的で危険な動きをしている」と述べた。
チェン研究員によれば、オバマ政権の出した今回のガイダンスは、民間機が「悲劇に巻き込まれる事態の回避を意識したもの」だという。同研究員は一例として、大韓航空機が航路をそれてソ連の上空に進入した1983年の事件を挙げた。この事件ではソ連軍機により旅客機が撃墜され、乗客ら269人が死亡した。チェン研究員は、「中国が同じことをすると言っている訳ではありません。ただ、潜在的な脅威はある…。今回の状況が危険な理由は、中国側の対処ルールがどうなっているのか我々には分からないという点にあります」と語る。
下院外交委員会アジア太平洋小委員会委員長のスティーブ・チャボット議員(共和党)も、中国側の要求に従うようオバマ政権が指導しているのは安全確保に向けた賢明な動きだと述べた。「東シナ海地域における中国側の無謀で挑発的な動きについて我々は深く懸念している。だが、飛行の安全確保のために米国民間機は事前通報を行うよう指導した国務省の慎重な対応は適切なものです。アメリカ人乗客の安全を優先したものです。つまり今回の国務省のガイダンスは、この空域に関する中国側の大いに疑わしい要求に対して譲歩したものではないし、またそうであってはなりません。」
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http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/11/30/us-air-carriers-china/3790331/
アメリカが飛行計画を提出したことで、「日本はハシゴをはずされた」との声もあります。
いろんな意見もあるでしょうが、私見を簡単に述べたいと思います。
そもそも防空識別圏は領空とは違うので、防空識別圏を設定したこと自体は大した問題ではありません。
防空識別圏が複数の国で重複している事例など沢山あるからです。
じゃあ、今回の中国のケースは何が問題なのか。
ひとつは日本の領空を含んだこと。
普通、防空識別圏を他国の「領空」に設定する場合は、該当国の許可を得ますが、今回は無断で設定したという問題。
ふたつめは、防空識別圏とは自国に近づく航空機を識別し不信な航空機の近接を防ぐものであり、防空識別圏内を通過したからといって、軍事的な威嚇はしません。
航空機が航空識別圏を通過するため、飛行計画を提出することは特に問題ある行為ではありません。
領空として認められていなくても、防空識別圏として認められれば、民間機が飛行計画を出すことは問題ではないわけです。
しかし中国は防空識別圏内に入れば、軍事行動を示唆したわけで、中国が設定した防空識別圏は実質的には領空であり常識外の行動だということがわかります。
日本からすれば、中国の防空識別圏は日本の領空を侵害しており、当然ながらそのような防空識別圏など認められるはずはなく、航空会社の飛行計画提出を自粛させるのは当然です。
日本は中国に飛行計画を出すべきだという声も聞きますが、それは東京上空に防空識別圏を中国が設定しても認めるのかという理屈と同じこと。
それを主張するなら、日本も中国の領空に防空識別圏を設定しても、中国は日本に飛行計画を提出すべきと同じようにいうべきですよね。
今回の報道はかなり情報が錯綜していますが、安倍首相の話では
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安倍晋三首相は1日、中国による防空識別圏設定に関し、
「米政府が民間航空会社にフライトプランを提出するよう要請したことはないと、外交ルートを通じて確認している」と述べた。
また、「今週訪日するバイデン米副大統領と協議し、日米で緊密に連携を取りながら対応したい」と語った。
視察先の岩手県釜石市で記者団の質問に答えた。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131201-00000031-jij-pol
とのことなので、アメリカ政府としては中国の防空識別圏を認めたわけではない。
ただ見ている限り「出すな」とも言ってないので、国交省が止める前の日本の航空会社と一緒で、アメリカ政府が動かないと民間は飛行計画を出すでしょうね。
つまりアメリカ政府として中国の防空識別圏、つまり領空の拡大は否定するという姿勢には変化はないと思います。
ここで大事なことは、中国は情報戦を得意としているので、これを機会に日本とアメリカとの関係に亀裂を入れようとする可能性があるということ。
今回のアメリカ航空会社の飛行計画提出の件も、その一つかも知れない。
保守派はすぐに中国を罵倒して溜飲を下げる傾向がありますが、相手は「今週のバカ」(週刊文春)がトップの韓国ではない。
必要以上に過大視するのもおかしいが、中国を韓国と同じような見方で軽視するのは危険だと思います。
国際社会から批判を浴びた中国が、包囲網を突破するには国際社会の紐帯をうつことにあります。
これから色んなところから、情報が発信されると思いますが、慎重に扱わないと中国を叩いたつもりが術中にはまる可能性があるかと存じます。
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■米国航空各社、中国の新たな空域要求に従う(U.S. airlines complying with China's new airspace demands)
米国航空会社の関係者らは、中国が新たに宣言した防空識別圏を飛行する際には中国側に事前通知するよう求める米国国務省の新ガイダンスに従っていることを明らかにした。
関係者らが30日に明らかにしたところによると、外国の領土を飛行する際には従来から該当国に連絡しているため、今回の措置に伴ってアジア向けのフライトに混乱が生じることは無いという。
米国の航空業界団体エアラインズ・フォー・アメリカのケイティー・コネル広報担当は、「米国航空各社の運航は通常通りだ。我々は米中双方の民間機担当当局と連絡を取り合っており、フライト通知に関する標準的な国際手続に従うことを継続している」と述べた。
米国政府は中国の新規要求を認めていないものの、中国当局が23日に宣言した新たな「防空識別圏」を飛行する際には事前通報せよという中国側の要求に従うように米国航空各社に指導したことを、米国国務省は29日明らかにした。国務省のジェン・サキ報道官は、東シナ海地域での安全運航に必要と考える全ての措置を取るよう米国航空各社に指導している、と述べた。
米国航空会社の関係者らは、今回問題となっている空域を飛行する民間路線の乗客数に関するデータは提供できないとした。
専門家らは、今回の状況は民間機の運航に大きな影響は出ないであろうとする一方で、地政学的な意味合いは非常に大きいと指摘する。ヘリテージ財団で中国の政治・安全保障を専門とするディーン・チェン上級研究員は、中国は「非常に挑発的で危険な動きをしている」と述べた。
チェン研究員によれば、オバマ政権の出した今回のガイダンスは、民間機が「悲劇に巻き込まれる事態の回避を意識したもの」だという。同研究員は一例として、大韓航空機が航路をそれてソ連の上空に進入した1983年の事件を挙げた。この事件ではソ連軍機により旅客機が撃墜され、乗客ら269人が死亡した。チェン研究員は、「中国が同じことをすると言っている訳ではありません。ただ、潜在的な脅威はある…。今回の状況が危険な理由は、中国側の対処ルールがどうなっているのか我々には分からないという点にあります」と語る。
下院外交委員会アジア太平洋小委員会委員長のスティーブ・チャボット議員(共和党)も、中国側の要求に従うようオバマ政権が指導しているのは安全確保に向けた賢明な動きだと述べた。「東シナ海地域における中国側の無謀で挑発的な動きについて我々は深く懸念している。だが、飛行の安全確保のために米国民間機は事前通報を行うよう指導した国務省の慎重な対応は適切なものです。アメリカ人乗客の安全を優先したものです。つまり今回の国務省のガイダンスは、この空域に関する中国側の大いに疑わしい要求に対して譲歩したものではないし、またそうであってはなりません。」
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http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/11/30/us-air-carriers-china/3790331/
アメリカが飛行計画を提出したことで、「日本はハシゴをはずされた」との声もあります。
いろんな意見もあるでしょうが、私見を簡単に述べたいと思います。
そもそも防空識別圏は領空とは違うので、防空識別圏を設定したこと自体は大した問題ではありません。
防空識別圏が複数の国で重複している事例など沢山あるからです。
じゃあ、今回の中国のケースは何が問題なのか。
ひとつは日本の領空を含んだこと。
普通、防空識別圏を他国の「領空」に設定する場合は、該当国の許可を得ますが、今回は無断で設定したという問題。
ふたつめは、防空識別圏とは自国に近づく航空機を識別し不信な航空機の近接を防ぐものであり、防空識別圏内を通過したからといって、軍事的な威嚇はしません。
航空機が航空識別圏を通過するため、飛行計画を提出することは特に問題ある行為ではありません。
領空として認められていなくても、防空識別圏として認められれば、民間機が飛行計画を出すことは問題ではないわけです。
しかし中国は防空識別圏内に入れば、軍事行動を示唆したわけで、中国が設定した防空識別圏は実質的には領空であり常識外の行動だということがわかります。
日本からすれば、中国の防空識別圏は日本の領空を侵害しており、当然ながらそのような防空識別圏など認められるはずはなく、航空会社の飛行計画提出を自粛させるのは当然です。
日本は中国に飛行計画を出すべきだという声も聞きますが、それは東京上空に防空識別圏を中国が設定しても認めるのかという理屈と同じこと。
それを主張するなら、日本も中国の領空に防空識別圏を設定しても、中国は日本に飛行計画を提出すべきと同じようにいうべきですよね。
今回の報道はかなり情報が錯綜していますが、安倍首相の話では
////////////
安倍晋三首相は1日、中国による防空識別圏設定に関し、
「米政府が民間航空会社にフライトプランを提出するよう要請したことはないと、外交ルートを通じて確認している」と述べた。
また、「今週訪日するバイデン米副大統領と協議し、日米で緊密に連携を取りながら対応したい」と語った。
視察先の岩手県釜石市で記者団の質問に答えた。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131201-00000031-jij-pol
とのことなので、アメリカ政府としては中国の防空識別圏を認めたわけではない。
ただ見ている限り「出すな」とも言ってないので、国交省が止める前の日本の航空会社と一緒で、アメリカ政府が動かないと民間は飛行計画を出すでしょうね。
つまりアメリカ政府として中国の防空識別圏、つまり領空の拡大は否定するという姿勢には変化はないと思います。
ここで大事なことは、中国は情報戦を得意としているので、これを機会に日本とアメリカとの関係に亀裂を入れようとする可能性があるということ。
今回のアメリカ航空会社の飛行計画提出の件も、その一つかも知れない。
保守派はすぐに中国を罵倒して溜飲を下げる傾向がありますが、相手は「今週のバカ」(週刊文春)がトップの韓国ではない。
必要以上に過大視するのもおかしいが、中国を韓国と同じような見方で軽視するのは危険だと思います。
国際社会から批判を浴びた中国が、包囲網を突破するには国際社会の紐帯をうつことにあります。
これから色んなところから、情報が発信されると思いますが、慎重に扱わないと中国を叩いたつもりが術中にはまる可能性があるかと存じます。
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