その時に取り上げたこの本、実はまだ読んでなかったのでここはきっちり読んでみようと思い読了しました。
結論は?いや最初の2割程度読んだだけで本当にこれはダメだと思いました。本としてではなくてこの南海トラフ地震に係わらずこの国の地震予知という学問の話と防災の話とがです。上の引用エントリーで書いた時に思ったよりさらにひどかったのであきれました。
地震予知は科学の話です。よって科学の話だけで結論付けられなければなりません。しかしそれが行われていない。それが防災という行政の問題と不必要に絡んでいるのです。
これは言ってしまえば簡単な話で、防災というのはどこで災害が起ころうとそれに備えた措置を平時からやっておこうという事で、特に大地震は避けられないのならば起こった時の行動指針を決めて訓練しておくとか、起こった後の復旧をどうするかとかを考える話で、予測の正確性とかとは全く別の話です。だから大げさにあおり立てればいいという訳ではありません。しかしそれがこの国では全く行われていないのです。
それで一瞬読書欲が削がれたのですがしかし、この本の筆者がすごいのはこの案件に対しては素人ながら、地震予知で根拠とされている説の源流を突き詰めそれを明かした点です。これが賞を取る事にもつながった訳ですがあっぱれですね。東京新聞はこういう記者がもっと活躍すればいいのにと思います。
あらためてわかったのは現在の技術で地震の予知は不可能であり、既にそのエビデンスも揃っている。しかしそれを認めない政治的な圧力が有る。そういう人達がやれ予言や滅亡説などのオカルト的デマに惑わされるななんてよくも言えたものです。
地震に対してオカルトを広めているのは日本国そのものです。
さらには自分達のやる事だけが正しいという大前提だけで他者の行動を制限する。こんな横暴が許されていいはずが無いのです。そういう警笛を鳴らしてくれた東京新聞と著者に敬意を評します。