【書評】メディアの支配 上・下 | Do More with Less

Do More with Less

クルマ、バイク、モーターレース、音楽、映画、本、社会に対して言いたい事、Twitter(X)でつぶやいた事の詳細などをオレ流スタンスにて
メインタイトルは尊敬するCG創設者の故小林彰太郎さんの書から引用しました
プロファイル画像は @crown_sugar さんに描いて頂きました

さて今回はこの本を読むきっかけになったXのポストから話しましょうか。実は(かなり長い記事ですが)こちらで引用したアゴラの記事を読んで頂ければこの本の概要はわかってしまいます。

 

 

この本の存在自体は何となくは知ってました。しかし当時は食指を伸ばさず20年が経っていました。実際この本が上梓されたのは2005年、あのライブドアによる買収事件(ホリエモン事件と呼んだ方がわかりやすいか)の直後の事だったのです。

 

1980年代のフジテレビの鹿内氏や西武グループの堤氏って嫌らしい実業家のトップでした。昭和のそういう嫌らしい時代でした。その時代から1990年代初期のクーデター事件、さらには今世紀初めの堀江貴文氏による買収騒ぎに至る事象の中で、このフジサンケイグループという巨大な組織体がいかに昭和的嫌らしさを放って来たのかを詳細に記しています(*)。

 

そしてホリエモン事件に関係するフジサンケイグループの右往左往はまさに、学生時代に優しいサヨクだった私が社会人になって考えを改め産経新聞読者になった事に対して、いい意味で衝撃を与えてくれました。当然の様に産経新聞の購読をやめました。

 

当時この本を読んでいたら今以上当時以上に産経新聞を非難していたでしょう。最近では夫婦別姓は日本の伝統に反するからたとえ選択制でも絶対やってはいけないなんて主張している輩の集まりです。こういう世襲制で、労働組合を認めないなんて組織にいながらよくも言えたもんだなと思います。当時も偉そうに保守的な主張をさも本質的に正しい事として語っていましたが、一方で自分達が資本主義の正式な手続きで買収されようとすると感情的に、しかし例によって偉そうに非難する姿勢。そんなフジサンケイグループの正体が書かれています。

 

それにしてもあのクーデターを司馬遼太郎さんが全面的に(それもかなり強烈な皮肉の言葉まで込めて)支持していた事には驚きました。旧来のコンテンツとしてのテレビ局を支持する思いだったのでしょうか。などと書いてから後で知ったのですが、司馬遼太郎さんは元産経記者だったのですね。それはそうか。そして10年以上経ってから堀江貴文という改革者が現れるのですが、将来の事を考えるならこちらが優勢になるべきだったのです。

 

しかし結果的には従来の体制を踏襲、それが今フジテレビを不当に支配している日枝氏なのですから、全くもってこの巨大な組織に対して尊敬しろというのは無理な話です。その結果が女性アナウンサーを性的貢物として芸能人に献上する不祥事に至ったのでしょう。関係無い様に見えてもつながっています。そういう思想の人達なのですから。わかりやすい話なのです。

 

それにしても時代は巡って、今や堀江貴文氏がある意味のリベンジ?いや不祥事でどん底にあるフジテレビを再度救うかの様なアクションを取っているみたいですね。これはこれで今後の展開が面白くなりそうですが、これを機に昭和から平成の日本の汚物が一掃されればいいなと思います。

 

 

(*)

昭和という表現は悪い事の代名詞的に書いてしまいますが、あるいはそう表現する人は多いですが、実際に昭和のダメな事として行われている事の多くは平成の時代に行われました。フジサンケイグループの問題も同様です。