【書評】逆説の日本史23 | Do More with Less

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メインタイトルは尊敬するCG創設者の故小林彰太郎さんの書から引用しました

このシリーズは出る度に図書館で借りて読んでいるが、ちょっと見ない間に23と24が出ていた。まずはこの23を読了。いよいよ近代史、明治以降の日本史である。

 

この冒頭において筆者は長々と韓国について記述している。この内容はいわゆる左の人からは批判されている内容だ。実際私もこれを読むまではやや大げさと思っていた。しかしあえて全体の1/4を割く程書いたのはそれなりの意味が有って、特に近代史を見る場合に韓国が当時から今までどうだったのかを知るのは非常に重要だと思う。もっともだからと言ってそれは(程度の差は有れ)日本にも言える事だとわきまえるべきだとは思うが。

 

しかしその内容は朱子学という、偏執な宗教であるにも係わらず学問を装った嫌らしい考え方に毒される事の危険性を問いており、この事自体は現代の日本人も本当によくわきまえなければならないと思う。その意味で別に歴史に興味無くてもこの本は読む価値有りである。

 

もちろん明治とは日本の国体が大きく変わった時代、いやそもそも国体なんて概念はおそらくこの時代あたりから始まったのだろう。だから日本の伝統とか言われる風習が実はせいぜいこの時代からのもので、しかもそれ自体がかなりうさんくさい話だったりするのである。

 

一例として、明治時代に仏教の僧侶が肉食や結婚するというのが有る。それは仏教の堕落ではなくむしろ日本の特色。良い意味でも悪い意味でも、我々日本人は戒律をないがしろにする傾向が有る。

 
国家神道という概念もそうだ。実はこの本ではまだそこまで話されてはいない。実はそれはでっち上げで、昭和20年代まで存在しなかったという(後編が期待される)。
 
そういう思い込みは日本人の信条(いや心情という字を当てるべきか?)の中には多い。一番わかりやすい例は終身雇用制。こんな事を社内規定や条例・法律で明記している文は私の知る限り1つも無いのに、多くの日本人が信じ切っている。
 
あらためてこの本では、著者が以前から主張していたキーワードがこれでもかという程に繰り返されている。それは日本人の宗教観に大きな影響を与えている、言霊、和、怨霊信仰、穢れ(ケガレ)信仰、などの概念だ。確かにこれらを理解しないと自分達の立ち位置がわからなくなってしまうと思う。