社交ダンスを踊るには多くの知識と運動表現を学ぶ必要が
有りますが一番大切な事は自分自身の体重を動かしながら
演技をする事です。
当たり前の事と思われるかもしれませんが多くの踊り手の
上手く踊れない原因がシッカリとフィガーを覚えていないとか
習った通り運動表現が出来ていないと言う事よりも自分自身の
体重が移動していない事に起因している事が少なく有りません。
普段の生活に於いても自分の体重を意識する事は殆ど無く
自分の身体は意思がおもむくままに自由に動かしていると
思っている方が多いと思いますが実際は反射的に数十キロの
体重を動かす事で思いが遂げられれている事が多いのです。
この事は怪我をしたり病に伏して身体が動かなくなって初めて
如何に自分の体重が重くのしかかっているかを痛感します。
社交ダンスを踊る時この重みで最も影響を受けるのが目の前の
お相手である事を忘れてはなりません。
社交ダンスの特性としてペアで互いの体重を音楽に合わせて
動かし続けなければならないという基本的な問題が有ります。
自分だけの事であれば身体を動かさなくても何の支障も無い
かも知れませんがお相手とコンタクトしていると自分の動かない
体重がお相手に大きな影響を与え想像以上に苦しみや不快感を
与えている事が多いのです。
この事はまだフィガーやルーティンを余り覚えていない初心者が
陥る問題と思いがちですが実は教える立場に有る程の方のほうが
自分は上手く踊っていると思っていてもお相手に負荷を与えて
踊り辛くしている事が有るのです。
初心者はステップを習った通り踊ろうと全身に無駄な力を入れ
お相手を踊り難くする傾向が有りますがベテランや教える立場
に有る方に限って自分の体重を動かさないで手足の部分的な
運動でお相手を動かしたりレッスンしようとする傾向が
多分に有るのです。
確かに全身の筋肉を使って体重を動かすという事は正にスポーツ
と言えるのですがコンタクトして踊っている限り自分の体重が
お相手に悪影響を与える事は好ましく有りません。
またステップやフィガーを充分理解して踊っているからと言って
小手先で踊っていると次第にその踊り方に身体が慣れてしまい
いつの間にか部分的な筋肉で踊る習慣が付きとても踊り辛い
踊り手に成ってしまう事が有ります。
習い始めた頃はあらゆるやり取りが気になりそれなりに身体を
動かして対処しようとするのですが次第にキャリアが増して
ベテランと成ると出来るだけエネルギーを使わず踊る事を覚え
ペアとしての踊りが失われて行く事が少なく有りません。
社交ダンスが上手に踊れると言うと自分自身の能力を考える方が
多くいるようですがその自信はお相手が在ってこそと言う事を
忘れてはなりません。
社交ダンスはお相手の運動表現に反応して音楽表現を創り上げ
ペアとしての美しさを目指す踊りです。
自分自身が上手に踊れると同じく目の前の踊り手も満足できる
踊りが出来る事が大切です。
その為踊るお相手や音楽更には環境によって自分の音楽表現は
自由に反射的に変わって行く事が重要です。
正しい踊りをしているからと言って自分の踊り方を主張し続け
お相手に嫌な思いをさせない様にする事が肝心です。
その為にはコンタクトして行うリード&フォローに於いて如何に
自分の体重でお相手の運動表現を邪魔しないかを考え更には
体重を上手く使ってお相手の運動表現を助ける様に演ずる事が
とても重要です。
自らの音楽表現は覚えたフィガーや運動表現を体重を動かす事で
ペアとしての踊りにする事が社交ダンスを踊る上で大切です。
基本的なフィガーや運動表現は体重を動かす事で目的の音楽表現
に成る様に作られています。
ステップの順番を踊るだけでなくその運動表現を自分の体重を
動かす事で創り出す事が求められます。
歩く走ると言った運動の基本動作も体重を動かし続ける事で
様々な運動表現に繋げているのです。
フィガーやルーティンを覚える事は大切ですが常に自らの体重を
動かし続ける事が一番大切なのです。