背中のシルエットを美しく運動表現を豊かに | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

昔から背中を見れば年齢が判ると言われますがどれ程着飾っても

美しくお化粧をしても後姿を見るとそれ相応の年齢を感じます。

何故年を重ねて見えるのか背中が曲がっているからとか猫背に

成っているからと言われたりしますが背中が曲がっていても

猫背で有っても若さを感じる方もいるのです。

では一体何が年齢を感じさせるのかと言えば普段の生活でも

スポーツをしている時でも背中の形を維持したまま固定されて

いると見た目だけでなく上肢と下肢が繋がらず腕や足の力だけで

動いている様に見えるからです。

 

私達の身体は例え二足歩行に成ったとしても基本的に上肢と

下肢が繋がって動くように出来ています。

つまり未だ四肢で支え動く犬や猫と言った哺乳類の筋肉の

使い方と変わらないのです。

人類が生まれて800万年程してようやく上肢と下肢を別々に

動かす事で長足の進歩を遂げたと言えるのですが普段の生活

ならば良いのですがスポーツをしたり運動機能を発揮するには

この別々に使われる運動機能が重心の移動を難しくし下肢が

床や地面から得たパワーを上手く上体に伝えられないのです。

 

社交ダンスやスポーツが上手に演じられると言うのはこの

四肢が繋がり合って運動表現が出来ると言う事です。

社交ダンスが難しく成る大きな原因の一つは下半身だけの

運動で音楽表現をしようとしたり上体のコンタクト面周辺の

力だけでリード&フォローをしようとする事に有ります。

上肢と下肢を別々の運動として考えると全身を動かす重心の

動きが滞り手足は動いても身体の移動が伴わず社交ダンスを

踊るにはお互いに無駄な力が入り音楽表現に結び付きません。

 

背中の筋肉を使うと言う事が解り辛かった場合は椅子に腰かけ

先ず背筋を伸ばし左右の肩甲骨を肩と共に上方に動かして

みて下さい。すると肩甲骨が上方に引き上げられるにつれて

臀部の筋肉が上方に引っ張られるのを感じると思います。

また左右の臀部を大腿部を含めて座ったまま前後に動かすと

背中の筋肉を通じ肩甲骨と肩が引っ張られるのを感じると

思います。

 

実際に踊っている時もショルダーやレッグが動く時には

肩甲骨と臀部が呼応しながら動く事が大切です。

初心者の踊り手や足先の運動だけで社交ダンスを踊ろうと

している方は背中から臀部にかけ板の様に固まっています。

どんなに沢山フィガーを覚えても脚だけの力で踊っていると

上半身に運動表現が伝わらず意志ある上体の音楽表現が

生み出せません。

 

この事は一人で運動する時も問題と成りますが

社交ダンスを踊る時男女がコンタクトしながら

お互いの意思を伝え合う事も有って重心が移動せず

上半身や下半身の動きだけで運動表現をしようとすると

お互いに重いだけでコンタクト面に大きな力を加え

ながら踊る事と成ってしまいます。

人は部分的に力を加えられると反射的に身体を硬直

させたり安全を守ろうとする本能から身構えて

しまう事が多いです。

 

リードもフォローも自分自身の重心を動かす事で

全身が同調してコンタクト面はソフトなやり取りに

成ります。

本当に上手な人はコンタクト面がとてもソフトであり

部分的な大きな力を感ずることなく自らの重心が

反応する事で二人の運動機能が繋がります。

理想は二人の背中側の運動表現で互いの運動機能が

繫がりペアとしての美しい音楽表現を生む事です。