肌が合う合わない | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

昔から他人と関り合う時に肌が合うとか合わないと言って

自分の交友関係を感覚的に感じる言葉が有りますが

日本人は世界的に見ても他人に対して自分の感覚で判断

する事が多い民族です。合理的な社会に成っているとは言え

実際に社会生活を営む時対人関係に自分の主観が大きく

関わっている事が少なく在りません。

欧米諸国の国々の様に直接コンタクトする事で互いの気持ちを

感じ合う文化も有りますが触れる前に互いの空気感や雰囲気を

自分自身の感情に取り入れる傾向が日本人には有ります。

 

この事は社交ダンスを踊るにあたっても男女が互いに触れ合い

音楽表現を生み出すと言う極めて西洋的な行為に違和感を

感じる日本人は多く踊る以前にコンタクトに対する抵抗が

少なくありません。

踊る為の技術を身に付ける以前に目の前のお相手と触れ合い

リード&フォローを行う事が難しい日本人も多くいます。

古くは男女7歳にして席同じくせずと言う教えにもある様に

男女が直接触れ合って行動する事は非常に特殊とも言えました。

 

大人に成るまで男女の触れ合いの場を制限されていた日本人は

如何に異性と触れ合うかは公共の場で堂々と振舞える祭りが

唯一の接点とも言え様々な祝祭における男女の触れ合いには

日本人の社会生活に於いて極めて重要な役割を果たして

来ました。

その為男女の触れ合いは欧米人の日常的なコンタクトとは違い

極めて直接的で激しいものと成り日本中に有る数千もの祭りが

現在もなお強い支持を得て存在している事でも解ります。

 

その様な日本社会に欧米から入って来た社交ダンスは

日頃他人と触れ合う事の少ない日本人にとって新たなる気持ちを

奮い立たせる絶好の場となったのは言うまでも有りません。

戦後の大ブームが示すように日々社交ダンスに明け暮れたと言う

後期高齢者は数多くいると思われます。

 

しかしながら技術や運動表現は覚えるものの習ったステップで

様々なフィガーを駆使するにあたって日本人ならではの問題が

生まれて来たのです。そう他人とコンタクトする習慣の無さと

如何に男女がやり取りをして音楽表現をするかという難題が

降りかかって来たのです。理屈では解っていても他人と触れ合い

ペアとしての音楽表現をすると言う事は日本人にとって

許された間柄でしかあり得なかったのです。

 

どんなにテクニックを身に付けても今現在触れているお相手の

心と身体を感じる事が出来ない方が実に多いのです。

たとえ競技選手であっても外見的に美しく踊っている様に見え

コンタクト面は力を入れ外見を保つようにする事で互いに

自分の踊りに集中している踊り手が実に多いのです。

 

その為ペアとして長年踊っていれば上手そうに見えても

他の人と踊るとお相手にとっては苦痛でしかないのです。

社交ダンスは欧米社会から生まれた踊りです。

コンタクト面を通してお相手の心と身体を感じる事で

楽しく自由に踊ることが出来るのです。

本当に社交ダンスを誰と踊っても上手に楽しく踊るには

コンタクトして踊る意味をしっかりと理解する事が

多くのステップやフィガーを覚える事以上に大切です。