若者と高齢者が楽しく踊れる未来 | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

社交ダンスがコンタクトして踊る最大のメリットは

外見ではわからないお相手の心と身体が解る事です。

個人の運動表現が基準と成るヒップホップと違って

社交ダンスは常にペアとしての運動表現が求められ

コンタクトして踊る事に因って如何に踊ったら互いに

気持ちよく楽しく踊る事が出来るかを学べます。

 

その為欧米諸国では社交ダンスを通じてマナーを学び

大人も子供も円滑に社会生活を営む術を身に付ける様

学校教育とは別に子供の頃から利用されて来ました。

ところが日本における社交ダンスの認識は、外見的な

美しさや競技的な運動表現がメディアによって強調され

本来の目的が成されないだけでなく楽しく踊れるはずの

社交ダンスが非常に難しい習い事と成ってしまいました。

 

多くの知識と運動表現を身に付けるものの、男女が

自分の感覚のみで踊ろうとする事で常にコンタクト面は

無駄な緊張が生まれ、美しい姿を保つには上半身を常に

一定の形状に固定して踊らなければなりません。

本来の人間が持っている運動機能を無視した踊り方は

例え外見的に美しく見えても、それは申し合わせで

踊り方も順番も決めて踊ると言う極めて不自然な

社交ダンスと成ってしまっています。

 

今や日本社会は高齢者が溢れていると言ってもよく

医学の進歩に伴い長生きされる方が増えています。

国の福祉政策も一段と強化され高齢者が楽しく健康に

生きられる社会と成って来ました。

しかしながらあらゆる所で高齢者を優遇する環境が

生まれているにも拘らず現実は孤独を抱え心も身体も

苦しんでいるお年寄りが多いのが問題です。

外見的には健全で楽しい余生を過ごしているようで

本当に心から満足している高齢者は少ないのです。

 

問題は例え環境を整えられ経済的に豊かに成ろうとも

心が寂しい高齢者が少なく在りません。

特に人間関係に不満を感じている方が結構多くて

若い人たちとだけでなく家族とすら心から楽しさを

感じられない方が多いのです。

高齢者への配慮が単に外見的な気遣いで有ったり

健常者の思い込みからくる対応や対策であることが

少なくなくて、本当に求めている福祉や援助が成されず

心苦しく思っている高齢者が少なく在りません。

 

社会生活で行われるお年寄りへの助けをする場面でも

多くの方に戸惑いや思い込みが見られ、本当に心から

ヘルプをする事が出来ないでいる若者や健常者も多く

福祉政策に空回りを感じる事が有ります。

若者の多くは実際に高齢者に触れたことが無い者もいて

例えお年寄りを助けると言っても単なる知識でしか

考えられない状態が見られます。

 

学校でお年寄りとの接し方のハウツーを習ったとしても

それは単なるマニュアルでしかないため、現場で実際

高齢者や体の不自由な方に接した時、心から適切な

対応が出来ない方がとても多いです。

この事は知識や能力が足りないと言う事では無く、

私達は普段中々身体を触れ合う事をしない事に有ります。

 

欧米社会の習慣の様にキスやハグが日常的で有れば

良いのですが、日本社会では基本的に他人とは触れない

というのが一般的です。

身体同士がコンタクトするのはスポーツをしたりする時

有るもののそれは戦いの中での事が多く、触れ合う事で

お相手に快さや楽しさを与えると言う事が有りません。

多くの日本人が触れずして察すると言う事を求められ

どれだけ的確にお相手を察することが出来るかが

大人への道とも言われています。

 

しかしながら、社会生活を営む上でどうしてもお相手の

心と身体に触れなければいけない時が有るのです。

高齢者社会が正にその時代とも言えるのです。

公共の場で高齢者や弱者が本当に求めている対応が

出来ないで戸惑ってしまう日本人が実に多いのです。

知識で優しさを見せようとして高齢者に拒否されて

戸惑う若者も多いです。

高齢者がいたら席を変わろう、と言うのは、現場を

知らない社会を動かしている人の感覚に過ぎません。

 

この事は多くの知識と運動能力を身に付けたから

誰とでも上手に踊れお相手には喜んでもらえると

思っている自称名人や上級者に多い感覚と同じです。

社交ダンスを踊る事で身に付けなければいけない本当の

テクニックや運動表現はフィガーやテクニックと言った

手段ではなくお相手の心と身体を感じる力です。

上手と言われる方がまだ上手く踊れない方と踊った時

自分の記憶の再現をして満足しているのと同じです。

 

人は日々心も身体も変化しています。

その違いは十人十色であるだけでなく、高齢者にとって

生きて行くために大切な要素です。

社交ダンスを上手に踊るには、その時コンタクトしている

目の前のお相手の心と身体に気持ちを向けて最も適切な

運動表現が出来る事です。

社会生活においてトラブルのない楽しい日々を送る為

であるだけでなく、高齢者や弱者に対する接し方でも有り

現代社会に必須と言えます。