フィガー、ルーティンの選択は男子に、運動表現の基準は女子に有ります | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

社交ダンスにおけるリード&フォローは、男子がリードをし

女子がフォローすると一般的にレッスンされますが、

この事を、男子が踊りの主導権を持ち女子がその後を

従ってついていくと解釈してしまうと、社交ダンスがとても

難しく成ってしまいます。

 

昔から日本における社交ダンスは、社交ダンスのステップや

テクニック用語を和訳して日本語に当てはめる傾向が有り

レッスンの場で本来の意味と全く違った方法や理解で

踊られて来た歴史が有ります。

現在行われてる教授所やサークルなどでの社交ダンスの

踊り方や用語の説明がいまだ数十年前と変わらない事から

社交ダンスが多くの人にとって難しい踊りとなっています。

 

まず男子のリードというのは、男子の踊りに女子を従わせ

男子の思うがままに踊らせるのではありません。

簡単に言えば、女子が自由に楽しく踊れる場に導き

女子にのびのびと音楽表現をさせる事なのです。

欧米のコーチャーがよく言う、男子はバンドで有り

女子は歌手なのです。

美しい衣装をまとうのも男子よりも遥かに多くの回転運動を

行うのも女子がペアとしての音楽表現の中心で有るから

と言えるのです。

 

男子の大きな役割は、女子が自由に楽しく踊れる場に

最も適切なフィガーとルーティンをもって導くことであり

その際、周囲とトラブルにならないようバランスを

失わないよう女子のあらゆる方向からサポートする

というのが男子のリードの本質なのです。

その為、踊る為のあらゆる男子のテクニックは、女子を

美しく踊らせるため、そして音楽と運動表現、更には

衣装が美しい音楽表現になるように作られているのです。

 

日本の踊り手達を見ると、男子の周りを一生懸命ついていき

自らのバランスも音楽表現も失ってしまっている女子を

多くの場で見ることが出来ます。

バランスの悪い高いヒールをはいて、円運動を利用できない

長いドレスをまとい必死に男子の後をついていく女子は

あまりにも可哀そうです。

中には自分は動かないで女子を両腕で自分の周りで

動くように力づくで踊らせているやからもいます。

 

女子は回転の中心となって踊る事が多いことから

男子はいかに女子をまっすぐに立たせ、360度

いかなる方向にも踊れるようにエスコートすることが

とても大切であり、女子が身体の中心を保って踊れると

男子はとても楽に踊れるということを知りましょう。

間違っても女子を自分に引き付けて踊ったりしない様

注意しなければなりません。

また、男子は女子を上手く回転させられると女子の

中心をいつも感じられることからリードが非常に優しく

男子の役割が楽になります。

 

例えばよく見かけるペアの踊り姿に、ワルツのナチュラル

スピンターンのカウント4,5,6のピボットアクションを

踊っている時、女子が一生懸命男子の周りをまわって

男子が自分の周りに女子を踊らせている光景を見かけます。

これは典型的な男女の踊り方の間違いで有り、どんなに

頑張っても女子は男子の周りを回れず、回転軸が流れ

その後の様々なフィガーを難しくしています。

男子は左足を後退した後、女子を自分の右方向に

回転させるのでは無く、女子の右足の上での回転軸が

傾かない様、女子を中心とした回転を作らなければ

上手にスピンが出来ません。

 

ボタンのかけ間違いの様に、男女の役割の違いを

正しく理解していないと社交ダンスのあらゆる場面で

お互いに苦しい踊りを強いられる事となるのです。

多くのペアが踊っている姿を見た時、女子のドレスが

美しい円運動を行っているペアは男女の役割が上手く

果たせていると言えます。

 

まだ経験の浅いペアの多くは女子のロングドレスが

男子の身体にまとわり着いたりカーテンの様に重く

ぶら下がったままで踊っています。

競技選手のような派手な踊りではなく、初心者が

踊るようなステップやルーティンにおいても、男女の

正しい役割が理解できていると常に自由で楽しい踊りが

保証されるのです。