力強く美しい運動表現は柔軟性のある筋肉から生まれます | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

スポーツのみならず社交ダンスを自由に美しく演ずる為には

全身の筋肉が必要であるだけでなく、思い通りに動かすための

運動機能が必要です。

外見的に美しい身体や見るからに逞しい上体を見ると、思わず

素晴らしい運動能力を期待してしまいますが、外見的な美しさや

逞しさが社交ダンスを美しく踊る為の絶対条件とは言えません。

 

多くの方をレッスンして来たり様々な世界のトップクラスの踊り手を

見て来ましたが、確かに素晴らしいプロポーションや見るからに

運動神経が有りそうな身体を見ると、さぞや上手に踊れるかと

思ってしまいますが、世界のエキスパートは別としても、

外見的な美しさや逞しさが直接踊りのパフォーマンスに繋がる

とは言えません。

 

中には体系的に差ほど恵まれず、外見的にはそれ程美しいとは

言えない方であっても、一度踊り出すと目を見張る素晴らしい

パフォーマンスを行う方も多くいました。

素晴らしい身体を持っていると言う事は一つの条件とは言え

必ずしもスポーツのエキスパートの様な体形を持つ事が

社交ダンスを上手に楽しく踊る条件とは言えないのです。

 

とは言え筋肉質の体は運動を行う上で様々な利点があり

スポーツが出来る人は決まって良質の筋肉の持ち主である事が

多いものです。

医学的にも筋肉の量が多い人はパワーが有り運動能力に優る

事が解っていて、少しでも筋肉を付ける事のメリットを考えて

多くの方がトレーニングジムに通うとも言えるのです。

 

ではせっかくの筋肉を身に付けるのなら、その役割を知って

社交ダンスに役立てる事が大切です。

唯闇雲に身体の筋肉量を増したところでパフォーマンスが

上達するものでは無く、身に付けた筋肉を如何に使えば

より効果的に踊れるかを知る必要が有ります。

 

筋肉の役割は多く有りますが、スポーツを行う上で大切な事は

自分の意志に反応して、思う目的のパフォーマンスを反射的に

演ずる事です。

筋肉の代表的な運動は、緊張と弛緩に因る運動機能を生む事です。

社交ダンスのみならずあらゆるスポーツ、更には日常生活まで

この緊張と弛緩がスムーズに反射的に行われなければ成りません。

 

社交ダンスは音楽リズムや演奏スピードに応じて、全身の筋肉を

反射的に緊張弛緩させパフォーマンスを生み出します。

この時大切な事は、この運動機能が反射的に目的に応じた力で

行われる事です。

運動やダンスが上手く行かない方は、思った通りイメージした通り

身体の筋肉が機能しないのです。

 

この事は筋肉の問題と考えがちですが、この動きを司っているのは

脳とそれに関連した神経機能です。

そしてその機能を助けているのが全身に張り巡らされた血管です。

運動に必要な栄養と酸素を運び続ける膨大なる量の血管が

必要です。

言い換えれば、血管系と神経系の発達無くしては豊かな筋肉運動は

不可能なのです。

 

具体的に運動をする事でこの働きを高める事が出来、しいて言えば

素晴らしいパフォーマンスを創り上げる事になるのです。

つまり、筋肉と言うより血管と神経の機能を高める事が大切です。

血管も神経も非常に柔らかいゴムチューブの様なもので、弾力が

失われたり、血液の流れや神経伝達機能が損なわれれば

踊りと言うより日常生活すら難しくなるのです。

 

普段私達は運動を欠かさない様にして健康を図り、若さを保とうと

努力するのですが、運動や日常生活で血管と神経が健全に機能

する様にする事が重要です。

ただ激しい運動をするのではなく、血管と神経が若さを保つように

身体を動かす事が大切です。

ヨガや体操は、身体の柔らかさを作ると言うより血管の弾力を増し

より運動機能を増す為に有ります。

 

社交ダンスを踊る時も、全身の筋肉が繋がるように動く事で、

血管や神経に負担を掛ける事無く、思った様に自分の身体を

動かす事が出来るのです。

足先にだけ力を入れたり、外見を作ろうと身体の形状を固定して

踊る事は血管や神経にとって良くないのです。

常に緊張と弛緩を繰り返し、弾力を与える運動表現をする事が

本当に社交ダンスが上手に成る練習法と言えるのです。

 

そして注意すべき事は、血管も神経も長く使い続けると疲労して

損傷しやすくなってしまう事です。

睡眠と休憩はスポーツを行う上でトレーニング以上に大切です。

疲れを残さない様にする事が筋肉に弾力性を持たせる条件です。

マッサージをしたり栄養ドリンクで一時的に休めても、全身の

血管や神経の損傷は回復しません。

激しい練習をした後は、大病を患った後の様に安静を保ち

ゆっくりと回復を待つ事も大切です。

身体は直ぐに結果を見せてくれません。

植物を育てる様に時間を掛けて見守る気持ちが必要です。