煌びやかな衣装を纏いながら満面の笑みで踊る
踊り手たちは、見るからに幸せで楽しそうに見えますが、
本当に心から楽しく踊っているのでしょうか。
表情豊かな踊り手たちの喜びの表情は、ステップや
運動表現と同じく、その様に見せる為のテクニックや
誇張が多く見られて、表現法を説明している様で
二人の本当の気持ちが伝わって来なことが多いです。
今や映像の時代となり、いかに感情豊かな演出が
出来るかが一つのテクニックとしてレッスンされていますが
まるでミュージカルの舞台を見るように、誇張された表情は
時にあざとく鬱陶しくさえ感じる事があります。
計算された表情は、役者の様に感情の豊かさを見せますが、
いつも同じ方法で表現すると、心の中は空っぽの様に
思えてしまう事も少なくありません。
確かに様々な表情や表現を覚える事は大切ですが
自分自身の本当の感情から生まれたオリジナルの
感情表現を見失ってしまうと、まるで店員さんの
作り笑いの様に、直ぐに興味を失ってしまいます。
私たち人間は、生まれた時から五感を育てながら
様々な環境に於いて、心を育てて生きています。
多くの場合は、体験を通して反射的に反応する事で
様々なシチュエーションにおけるもっとも適切な
判断と行動を生み出しているのです。
同じことを繰り返している様に見える事であっても
その瞬間瞬間に心を動かして対処している事で
人としての存在価値を生んでいるのです。
社交ダンスを踊る時も、例え決まった足形や
ルーティンが有っても、同じ人と踊っていても
この身体の豊かな反応を無視してはならないのです。
しかしながら、多くの踊り手は、誰か特定の人の
所作や運動表現を真似したり、表情を似せたりする
事に因り、上手に踊れていると勘違いしています。
どんなに素晴らしい踊り方や表現であっても
自分の心が生み出したものでなければ、本当の
満足は得られず、常に他人が気に成る、比較でしか
評価が出来ない残念な人に成ってしまいます。
誰もがこの世に選ばれて生まれてきたのです。
様々な勉強や体験は、自分自身を育てるために
あるのです。
自分を信じて大切にすることは、沢山のステップや
運動表現を覚えるより遥かに尊い事なのです。
この世に存在するだけで素晴らしいだけでなく
更に自分自身の輝きを増す事が出来る社交ダンスは
あなたの心で育てる最も身近な方法と言えます。
素直に自分の気持ちを表現できるようになって初めて
ペアとして一番魅力的な踊りと成るのです。