社交ダンスに限らず、今や、対人関係を円滑にし、
豊かな社会生活を送る事は難しい時代と成っています。
あらゆる情報が手に入るものの、ほんの身近な人達
であっても、その心の中を知る事は難しく、些細なことで
トラブルに成ったりハラスメントに発展したりすることは
珍しい事では有りません。
その為、誰もが対人関係に神経質になり、出来るだけ
争いとならない様に、必要以上に気を使ったり、全く
関わらない様に無視したりして、日本人の日常生活が
益々複雑で息苦しく成っています。
情報による豊富な知識は有っても、現実には、
目の前に居る人達の気持ちが解らない日本人が多く
人によって様々に変わる応対が出来ず、誰に対しても
自然なやり取りが出来い方が多くなっています。
経済的豊かさは求めても、対人的な豊かさが得られず
常に諍いやハラスメントの危険性に怯える方も多いです。
この事は、社交ダンスの現状ととても良く似ていて、
沢山のステップやテクニックを知っていても、誰と踊ろうも
同じ対応しかできず、お相手に嫌な思いをさせている
上手と言われる方が少なくないのです。
ステップを間違いなく、先生に習った通り踊りさえすれば
お相手は楽しく踊れると思っていて、お互いに我慢を
しながら踊っている場合がとても多いのです。
うまく踊れない原因が、自分の技術不足で有り運動能力の
至らなさであると思い、上手に踊れる様になる為には、
より自分が踊るステップや運動表現を、習った通り正確に
間違いなく思い出して踊る事と信じて疑いません。
また、うまく踊れない方は、踊れる人のリードするままに
付いて行きさえすれば上手に踊れると思っています。
一生懸命技術を増して、少しでも多くのステップを覚える事
それが社交ダンスを習う事と思っている日本人が殆どです。
誰もが社交ダンスが大好きで、楽しく思うが儘に踊りたいと
思っているのに、その気持ちとは裏腹に、思い通りにならない
辛さと思い通りに動けない自分の身体に苦しんでいます。
社交ダンスを習うと言う事は、一体どういいう事なのでしょう。
外見的に美しく踊る為なのかもしれませんが、そうありたいと
頑張るも、殆どの方は、思うが儘とは行きません。
そう、見た様に踊り手が本当に楽しく踊る為には、
眼で見えない男女の運動機能の違い、其々の役割り、
音楽や環境に対する基本的な理解が必要なのです。
自分以外の物に対する理解があってこそ、自らが身に付けた
社交ダンスの知識が生きて来るのです。
中でも一番大切な事は、目の前の方に対する反射的な運動です。
自分と違った心と身体を理解し受け止められるかが一番大切で
お互いにしっかりと理解出来た時、素晴らしい二人だけの
美しい社交ダンスが生まれるのです。
これは社会生活を営むときと同じであり、マナーの重要性は
社交ダンスが本当に楽しく踊れる理由でもあるのです。
今、社交ダンスのみならず、日本社会に於いても
マナーの欠如が問題と成っています。
自分だけの思い込みが、社交ダンスに於いても
一般社会に於いても対人トラブルを生んでいるのです。
知識で社交ダンスを知ろうとするだけでなく、実際に
生きているお相手に触れて感じる事で、自分の持っている
様々なテクニックが生きたものと成るのです。
どんなに素晴らしい踊りを見てもビデオで研究しても
生身から伝わる生きた情報にはかないません。
人と人が肌を触れた時、そこからは、お互いの心と
身体が伝わり、其々の人生すら感じられるのです。
うまく踊る為の数々の答えも触れ合うことによって
得られる事を知って下さい。