もう一度、トウライズについて | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

最近、社交ダンスを踊っている方々を見ていると

相変わらず、トウライズを、指先に力を入れて

踊っていたり、床を蹴って立ち上がったりと、

外見的に見えた様に踊っているペアが目立ちます。

特に、初心者に成れば、テクニック説明の言葉通り

足先で立とうと必至に頑張っています。

 

しかしながら、下半身だけの筋肉を使って立てば

上体の運動と繋がらず、上体からの意思表示が

下半身に上手く繋がらず、ライズしたとたんに、

左右の足が連携を失い、大切な足のスウィングを

失ってしまいます。

 

以前にも書きましたが、大切な事は、どんなに小さな

動きに見えても、全身の筋肉が繋がるように踊る事が

とても大切です。

人間の身体は、動く時、数十キロの体重が関り、

男女が関連すると、時に、100キロを超える力が

お互いの身体を動かすのです。

 

しかし、多くの人は、普段の生活に於いて、自分の

体重を感じる事はほとんどなく、疲れたりしたとき

身体の重さを感じるくらいです。

所が、社交ダンスを踊る時、いかにこの重い体重を

使うかによって、運動表現も労力も大きく変わって

行くのです。

 

二足歩行が当たり前となった人類とは言え、身体の

中を繋げる筋肉の伝わり方は、遠い類人猿の頃と

何だ変わらず、筋肉分布は、他の四つ足の哺乳類と

差は有りません。

四つ足の動物が、走る時、上肢と下肢を繋げる筋肉は

背中を通って繋がり合い、脳からの指令が上肢から

下肢に背中の多くの筋肉を伝って繋がります。

 

今スポーツ選手の自慢の6パックの腹筋は、運動能力の

象徴の様に思われがちですが、自慢の腹筋も、かつての

腹膜が進化したものに過ぎず、背中の筋群に比べて

大きな運動表現の役割りはそれほど無くて、あくまで

下半身と上半身を繋ぐ背筋群を助ける役割に過ぎず

トウライズをする時も、トウで立った時のバランスを助け

る為の体幹の一つに過ぎません。

 

トウライズ、ボールライズは、足の部分の名称であり、

トウやボールに力を入れて踊るのではなく、あくまで

床との接点の説明です。

大切な事は、頭骨から足のかかとの中心まで、

下半身からの床から得た力が伝わる事であり、

上半身の意志が、下半身を反射的に動かし、

更に下半身が動く事で、床から得た反射力を

上体に伝える導線の役割りが背中側の筋肉です。

 

つまり、身体を動かす時は、常に、背中側の筋肉を

イメージして踊る事が大切です。例え、トウライズ

する時であっても、踵が上がる事で、ふくらはぎ

太もものハムストリング、臀部、脊椎周囲筋、そして

首周りの筋肉に力が抜け、頭骨の頂点から天に

力が抜けて行くイメージです。

 

この背中から空間に抜けて行く筋肉を使って

トウライズ、ボールライズをすれば、難なく

高く立ち上がることが出来、しかも、上体は

全く力むことが無いのです。

全ての運動が、背中側の筋肉を使って行われ

上半身の意思表示が、下半身の反射力で

パフォーマンスに変えられれば、スポーツで有れ

社交ダンスで有れ、苦労をせずに楽しめるのです。