日本人は、自分の思いを他人に直接伝えるのが苦手な
民族と言えます。
と言うより、自分の一方的な望みを伝える事は、相手に対して
余程親しくない限り、失礼であると言う気持ちが有ります。
もし叶えてほしいことが有っても、出来るなら察してほしいと
思うのが一般的と言えます。
この事は、日本人の他人に対する優しさであり奥ゆかしさとして
世界的に見ても、極めて礼儀正しい民族として知られています。
しかし、この奥ゆかしさが、社交ダンスを踊る時、お互いの気持ちの
すれ違いを生んだり、自分勝手な考えで、お相手を苦しめる結果と
成っている事が少なくありません。
社交ダンスは、男女が直接コンタクトいて音楽表現をしている事から
男女其々の勝手な思い込みで踊ると、二人のパフォーマンスは
常にトラブルが生じ、コンタクト面には緊張しか生まれません。
多くのペアが、コンタクト面を固めて踊っていたり、固めざるを
得ない踊りを行っています。
二人の上体の踊りは、其々の思いを伝え合って踊らなければ
思うような踊りはで出来ないのです。
コンタクトした上体が、スムーズに意思表示する事に因って
下半身は反射的に、その時最も相応しい運動表現をするのです。
男女の感覚は、本来、全く違っているのが普通であり、自分と
違った感覚や思いがある事を知っている事が大切です。
様々な運動表現を行っている時、男女其々が、どの様に演じて
いるのか、お互いに気持ちを確認し合う事は重要です。
自分が思っている音楽の感じとお相手の感覚は、全くと言う程
違っているのが普通です。
其々が、自分が思うように演じられた時、思うが儘に踊れている
と感じるのです。
社交ダンスの曲は、たった数分の間の男女の音楽表現で
ペアとしての人間的な芸術性が求められます。
男女が持つ其々の特性が十分に発揮されるためには
お互いがお相手の思いをしっかりと理解している事が
とても大切なのです。
自分は、このこの小節の部分は、このような気持ちで踊っている
私は、このパートは、こんな気持ちで踊りたい,と言った言葉を
実際に口にすると、いかに男女の気持ちが違っているかが解り
自分のリードやフォローをどの様に行ったら良いか解ります。
どんなに正しいステップや運動表現を覚えても、お相手の気持ちを
考えないで、自分が踊りたいように踊っていては、何時まで経っても
二人の踊りは思うが儘には成りません。
普段の生活と同じく、常に流動的に変わるお互いの気持ちを察し
自分の行動がお相手の思いをより豊かに気持ち良くすることが
社交ダンスに於いて重要です。
目に見えるテクニックや運動表現以上に大切な事が、実際には
二人の踊りをより豊かに魅力的にするのです。