オリンピックのスケート演技と社交ダンス | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

ビョンチャンオリンピックは、連日の熱戦で、日本中に

感動を与えていますが、今日は、メダルが期待される
男子フリーの演技が有りました。
ソチオリンピックの覇者である羽生選手が、如何に

復活するか、また、日本選手が如何なる演技が出来るか
昼前後のテレビの前は、多くのファンで沸き返りました。

 

昨日のショートプログラムで、心配をよそに、羽生選手が
素晴らしい演技を行い一位を獲ると、今日は、連覇できるか
その事で会場のみならず、日本中のファンが固唾を飲んで
画面を見つめました。

結果は、日本人が金銀を獲得、復活した羽生に、涙した
日本人も多かったのではないでしょうか。

 

素晴らしいスケーティングですが、彼らの演技には、

回転に於ける素晴らしいヒントが隠されているのです。

この運動表現は、もちろん、社交ダンスとて同じ事であり、
二足歩行の人間が、回転をする時に行う為の要素が
多分に散りばめられた構成と成っています。

シングルで滑るとはいえ、リンクを左回りに回りながら
様々な種類の回転演技を表現しています。

注目すべきは、多くの回転のフィガーが、左回りで

左後方に踏み切られてスピンに入っている事です。

もちろん、右回りも多分に使われるのですが、

トラックを左回りに回っている時に、大きな回転を
掛ける時は、左後方に加速する事が楽なのです。

 

この時、大切な事は、回転を掛ける時、ボディの

左サイドが、後方に強く引かれる事で、軸足の

ヒップが後方に動き、膝から上の部分が

ハムストリングとふくらはぎのバネを誘発し

強い後方の推進力を生みます。

 

左回りをする時、左サイドが強く後方に使われ
その後、重心を後方の45度上方に引き上げる時
広げた手を出来るだけ小さく折りたたみ、
中心の軸の回転を加速しています。


三回転、4回転した後、閉じていた両腕を広げ
バランスを取ると共に、右足の軸として
左後方に力を抜いて大きく手を広げ続けると

次なる氷上回転に繋がるのです。

このジャンプの入り際の運動と、バランスを取って

抜けていくところが難しく、採点を左右します。


この運動を見れば、社交ダンスに於いて

ペアと踊っている時も同じであることを知って

欲しいです。
つまり、リバースの回転のフィガーが続く時

ステップを踏みながら、土台を回していくのではなく

お互いに、左後方に力を伝えながら踊る事です。


多くの人が回転に於いて間違うのは、回る時に
相手に対して運動を起こしたり、自分自身の
左右のショルダーを回転の方向に回すのです。
左後方に回る時、右サイドが同じように左に
動こうとすると、パートナーを押したり、軸の

バランスを失ったりするのです。


野球やゴルフで、両腕を使って、バットを振ったり

クラブを振ったりする方が、上手く球に当てられず

常に身体の軸が捻じれている原因と同じです。

スタンダードダンスに於いて、両手ホールドで

相手を捕まえて踊ってはいけないと言う

昔からのルールが有ります。

物を両腕で持って運ぶ様なホールドをして、

回転の方向に両腕を使うと両腕の間に居いる
パートナーを腕で押したり、軸を倒したりして
二人のバランスを損うからです。

 

多くの踊り手は、ホールドは、しっかりと固定して

踊らないと踊れ無いと思っています。

しかし、しっかり固定すると、下半身の力も
上半身の柔軟性も損なわれ、全ての運動を

バラバラにしてしまうのです。
正しいショルダーの運動は、正しい回転運動から

生まれるものであり、左右のサイドとショルダーの
使い方が解ると、殆どのスポーツは、思い通り

楽しく演ずる事が出来るのです。

 

凄いスピードでジャンプし回転するスケートも

身体の原理は同じであり、もっとも回転の原理を

正しく理解して跳んでいるのが羽生選手であり、

彼のジャンプの後のランディングが最も美しく

次のフィガーに自然に繋がっている事からも

良く解ります。

 

彼が、金メダリストだから出来ると言うのではなく

誰もが備わっている運動機能を、正しく使い
それを、最高度の運動表現にしただけの事
なのです。

しかし、社交ダンスを踊られる多くの方々は、
外見的な姿やステップに拘って、見た様に

その部分を動かしがちです。

 

社交ダンスもアイススケートも、正しいバランスと

回転運動を理解し、心で感じたことを伝える事で

身体が反応してくれるのです。

手先やフットワークの美しさに感動するかも

知れませんが、エキスパートは、先端を美しく
見せているのではなく、自分の思いを先端に
伝えているだけなのです。

 

社交ダンスも、音楽と相手を感じる事に依って

それを心から身体に伝える技術を身に付け

自分自身の運動表現とする事が、一番大切で

一番早く技術が上達し、心が成長するのです。

 

ピヨンチャンでは、まだまだ、様々な競技で

熱戦が続けられます。
日本人の選手に声援を送るだけでなく、彼らや

世界の素晴らしいアスリートが、如何に

人間の持っている機能を正確に美しく動かしているか

知る事で社交ダンスの技術に生かせるのです。

 

夏のオリンピックも同じくく、人間の持っている機能を

正しく使っている事から、見る人に感動を与えます。

日頃の健康の為の運動であっても、自分の身体は
どの様に繋がり動いているかを知ると、社交ダンスを
楽しく踊る事も、健康で美しい身体を、いつまでも
保つ事が出来る様に成るのです。