美しく着飾って踊る社交ダンスを見ると、誰もが
その華やかさだけでなく、男女の美しい姿に感動します。
上半身が上方に美しく伸び、姿勢の良さに驚くと共に
その様な姿を身に付ければ、同じような踊りが出来ると
思ってしまいます。
その為、習う側も教える側も、上半身を美しく保つことが
社交ダンスの大切な要素と考え、少しでも、伸び伸びと
見える様に上体を上方に引き上げます。
特に日本人は、頭が前方に倒れて、猫背気味に歩く方が
多い様で、背中を真っ直ぐにする様に気を配ります。
首を伸ばし、背中を伸ばし、床から上半身を引き上げる様
多くの踊り手が頑張ります。
それ故、クラッシクバレーや社交ダンスを長くしている人は
街中でも結構目立つ存在であり、その姿に、周囲の人は
違和感を感じる事すらあります。
とは言え、姿勢が良い事は、バランスが良くて、体幹が強く
運動能力が優れている事が多く、外見的にも実際の運動
に於いても、技術と共に目標とされるものです。
とは言え、この姿勢の良さは、実際如何に身体にとって
更には、社交ダンス踊るにあたって、役に立っているかというと、
多くの方が、イメージ的な外見でしか感じていません。
真っ直ぐはバランスが良いとか、見た目が良いとか言う
単なる思い込みから、ただ、姿勢を良くすれば、より上手に
踊れると思ってしまうのです。
しかしながら、外見的な姿だけで、踊りが上手に成るとすると
思わぬ落とし穴にはまってしまう事が有ります。
特に、背骨をむやみに真っ直ぐに保つと、下半身と上半身の
運動機能が繋がらず、上半身は石膏で固めたような形だけの
運動性に乏しい物と成り、下半身を、いつも、意思を持って
動かし続けないと成らなくなります。
この事は、医学的にも良くない事であり、何故、しなやかなS字に
脊椎が保たれるかを知らなければなりません。
物理的に、頭や腕と言った上体の重さを支えるのに、カーブした
脊椎に有効なのですが、一番大切な事は、歩行動作や運動時
上体の重みが脊椎をしならせる事に依り、脳からの神経伝達が
非常に良くなり、更には、その重さで曲がるリズムが、下半身の
膝のリズミックな柔軟性を高めるのです。
運動時、骨盤を通して上体から重力加速度を伴った重みが
下半身に加わります。この時、股関節、膝関節、足首の関節
と言った大きな関節に時に体重以上の重みが加わります。
しかしながら、それに応じられる様に、下半身には大きな筋肉が
骨格の周りについていて、その重量に対処する様に出来ています。
しかし、使い方が悪いと、筋肉で支え切れず、膝や関節を痛め
ダンスが踊れなくなってしまいます。
脊椎でバランスを取って、上体の重みを脊椎の柔軟性のある
筋肉リズムで動かすと、そのリズムで、下半身の筋肉収縮が
スムーズに成ります。
その為に、脊椎の柔らかなS字の形態は重要なのです。
スポーツ選手が上体をこまめに動かしリズムを取る事で
下半身の筋肉を思い通りに動かしているのです。
社交ダンスとて同じであり、上半身を固めたり、ただ外見的に
真っ直ぐにして固定すると、如何に運動能力を失うかが
理解できると思います。
素晴らしい踊り手は、背中が非常にリズミックに動き、
上半身のリズムが下半身に常に伝えられていいるのです。
素晴らしい運動表現も、外見的な美しい姿も、全てが
全身の筋肉が、必要に応じて作り上げた形態であり
その外見を真似ても、同じ事が出来ない事は明白です。
外見に囚われず、本当の自分自身の機能をセンスを
磨く練習が行われる事を切に望みます。