社交ダンスを踊る時、パートナーとコンタクトを取り
リードやフォローをする方向と、自分が実際に
身体の中から運動を起こす方向とは、全く反対で
ある事を知っていなければなりません。
私たちは、普段、目で見える方向を正面と考え
外見的にも、人が見ている方向、何か物を持ったり
運んだりしている方向が、運動の方向と考えがちです。
その為、ステップが前進をしていると、その方向に
身体が進んで行く事から、身体を動かしている方向を
本人の身体の運動をしている方向と思ってしまいます。
その為、多くの踊り手が、力を与える方向は、
身体の進む方向に、自分の身体を動かそうとして
前進歩に上半身を進めようとします。
確かに、前進する方向と運動する方向が同じである
相撲の立ち合いは、見た目と同じです。
しかし、力士のぶつかり合った瞬間を思い浮かべれば
二人共、上半身が強くコンタクトし、下半身が遠ざかる
いわゆる前傾姿勢となって、力を相殺し合い止まって
しまう事が解ります。
実は、この相撲の立ち合いと同じ状態で踊っているのが
上手く踊れ無い人や、上半身が硬くなってしまう人、
更には、お互いに上体を反り合ってしまう人です。
この様な運動では、お互いに相手の運動を邪魔しても
助け合う事は難しく、社交ダンスとは程遠い、
顔で笑って心で泣いている様な踊りとなってしまいます。
私たち人間が二足歩行により運動をする時は、
左右の足に、滑らかに体重が移って行かなければ
なりません。
つまり、見えている方向に力が加わると、その運動は
足の指先の方に移るだけで、両カカトが浮いた状態で
脊椎側にバランスを感じることが出来ず、常に、
上半身で相手にもたれかかった状態となります。
反射機能を有効に使うにも、身体のバランスが、
いつも背中側で感じられる事が大切です。
つまり、力強く前進をする時も、脊椎側のバランスから
始まる事です。
つまり、運動のスタートラインは、左右の足の踵の上
と考えられるのです。
走る時、歩く時、腕を後方に振る必要性は、どんなに
速く走ろうと、支え足の後方にバランスを感じ、
自分の思う方向に、反射的に背中側の筋肉を
使いたいからです。
ゴルフをする時、ステップで移動をしなくても、
左右の足で、同じ事が行われています。
つまり、クラブを構えた時、どちらかの足の
後方の踵側に身体のバランスを作り、その後
スウィングをすると、重心は次の足の後方の
踵の方へ移りフィニッシュします。
テニスのスウィングとて同じです。
社交ダンスを踊る時、この重心が移って行くとき、
目の前の人に対して重みが抜けて行くのが
初心者や、上手く踊れ無い方の踊りです。
つまり、見た目は前後に移動している様に見えても、
重みの中心はどちらかの足の裏の中にコントロール
されていないと、上手く踊れ無いのです。
前進の運動をする時も、回転を伴いながら、
左右の足の踵にバランスが来た時、次の
足が前方に振り込まれます。
気を付けなければならない事は、右方向へ
パートナーと回転を伴って踊って行くときは
踊り手が意識する運動バランスを感じる踵は
左方向へ動いている事です。
ナチュラル系の運動は、見た目、右へ二人が
回転して見えますが、運動表現は、背中と
踵を左へ動かしていきます。
さらに、ワルツなどスウィング系の踊りで
爪先立って踊る時は、両カカトが左へと回り、
もちろん、トウライズは、つま先で立つのではなく、
踵のバランスを背中上方の頭骨側に上げる事が
上手く踊れる秘訣でもあります。