ドレスをいかに踊らせるか | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

スタンダードダンス、ラテンアメリカンダンスに於いて
如何にドレスを躍らせるかは、女子の技術のみならず
男子にとってもとても重要であり、女子の踊りを通して
ダンスのスケール、音楽表現をより豊かに見せられる
大切なテクニックの一つでも有ります。

ステップのテクニック、ボディ表現などは、誰もが気を付け
しっかりと身に付け様とするのですが、意外と意識がないのが
身に付けている衣装です。
男子は、基本的に、女子をエスコートし、女子の演技を
邪魔しない様に、ほとんどの場合、ボディに密着した衣装を
身に付けるのですが、女子は、外見的に美しく見せるだけでなく
演ずる音楽をいかに豊かに大きく見せる為にも、ドレスアップします。

ところが、衣装を上手く使えず、衣装に引っ張られたり、衣装が
二人の演技の邪魔をしていたりしているペア多く見受けられます。
もちろん、正しい技術で踊れば、それなりに美しい衣装の動きは
生まれるのですが、衣装の動きをイメージできると、その動きには
命が宿り、見ている人をより魅了するのです。

ドレスは、ソロで踊ったり、ラテンアメリカンダンスを踊ったりする時は
女子にとって、360度、テクニックに応じて演技を行う事が可能なの
ですが、スタンダードダンスで、コンタクトを取って踊っている時は
ドレスがどのように動いていくのかを知っていないと、ドレスを着ても
二人の表現を美しく演出する事はできません。

スタンダードダンスを踊る時、基本的にボディコンタクトを行って
踊っている為、円形にデザインされているドレスを、そのまま
丸く使う事はできません。
特に、男子とコンタクトしている部分の衣装は動きが固定さえ
使える部分は、その他の、残された扇場の部分になります。

この部分を如何に使うか、如何に美しい円運動に見せるかが
踊り手の技術であり、音楽表現をする為のポイントでもあります。
この時、初歩的な問題ですが、ボディをコンタクトして踊れず、
いつも身体を離し、ホールドのみでコンタクトしているペアが
衣装を着て踊った時、衣装の問題が一番生じます。

男女の間で、衣装が自由に動くと言う事は、お腹の前の部分が
外の広く動く部分と複雑な運動を起こし、綺麗な円運動は
殆ど不可能となります。
かつて、沢山スカートの下にチュールが入っていた時代は、
身体を離して踊っているペアは、踊っている最中に、
お腹の前にスカートが巻き込み、上手く踊れず苦労したことが
思い出されます。

現代は、お腹の前がすっきりとしたドレスとなっているのですが、
スカートの演技としては、やはり前後がバラバラに動き、
スカートの導線が音楽の素晴らしさを演出できず、ペアの
せっかくの技術を台無しにしています。

では、どの様に動かしたらいいかと言えば、基本的には、
男女が右サイドでコンタクトして、回転運動をしている事から
女子の左サイドの使い方が重要となって来ます。

もちろん、回転だからと言って、右回り、左回りと言った
一人で踊る時の自分だけを中心にした回転方法では
初心者の技術となてしまいますから、スタンダードダンスを
踊る時は、ナチュラルの運動とリバースの運動を考えて
衣装を躍らせます。

ナチュラル系の運動をする時、ドレスを大きく動かすときは
右足前進からの左サイド、並びにスカートが付いている腰の
前方への運動を行い、左腰に付いているスカートが前方に
大きく振れていくイメージを持ちます。
この時、回転と思い、回り込もうとすると、右サイドの
コンタクトが失われ、身体が男子の裏に回ってしまう為
要注意です。

リバース系の運動をする時は、左サイドを後方に動かしながら
左腰に付いているスカートが後方に振れて行く事をイメージし
ネックは、スカートの流れを追う様に左サイドと共に、後方に
視点を変えて行きます。

特に、スリップバックや、ヒールターンを行う時は、
左サイドで大きく振れたドレスが左回りの円運動を起こし、
その力でヒールターン、ボールターンが行われてる様に
踊る事に依って、ドレスが作り出す遠心力により、
立ち足のフットワークが正確になります。

これらの女子のドレスの運動は、当然男子も理解し
女子がそのように踊れる様に助けなければなりません。
一般に、回転運動は、女子が男子の周りを回って
男子が女子を回している様に思っているペアが多く
衣装が上手く踊れないかったり、男女の踊りが
中々上達しない原因の一つでも有ります。

正しい回転運動を行っていると、衣装は二人の
心を演出し、伸び伸びとした豊かな表現を生み
更には、円運動がバランスを助けてくれます。

二人の身体の中の運動は、目で見ることが出来ず
中々理解することは難しいかもしれませんが、
具体的に大きく動くドレスの動きは、身体の中の
運動を視覚的に見せることが出来ます。

複雑なステップや回転運動も、ドレスの運動を
イメージしながら踊ると意外に簡単にできるものです。
男女共、衣装は身体の一部であるとともに、
二人の心を演出する大切な道具です。
踊っている時も、全身のイメージの中に
衣装の表現がイメージが出来ていると、より一層
美しく豊かな踊りを創り上げる事が出来るのです。