軽快な踊りは、体重ではなくバランスが決めます | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

競技会などを見ると、見るからにスマートで格好良い
男女が目に付きます。
スタイリッシュでスピーディに踊る姿を見ると、多くの方が
体重を落とせば上手に踊れると思ってしまいます。
特に女子の場合、外見的に美しくなることが、ダンス上達の
条件であるかのように思いがちです。

しかしながら、むやみに体重を落としても、気持ちの上では
踊れる様に思っても、ほとんどの場合、あまり技術上達の
手段とはならないのです。

それよりも、問題は、自分で自分のバランスが取れず、
男子に支えてもらいながら踊っている方がとても多いことです。
いや、自分は、しっかりと足腰を使って、自分の運動をしていると
豪語する方もいますが、実際踊ってみると、上半身に無用な力や
力みが感じられる方が多く、二人の運動による緊張感でなく
常に、上体に力を入れて、身体を固定している方は、
残念ながら、いくらキャリアが有っても、一人で立てない人です。

また、女子のみならず、男子の方も一人で立てない方が多いです。
二人でホールドを保ち合って踊るため、上半身でリードしがちであり
女子の体重の動きで自らが硬直している方が多いです。

そのような男女は、決まって、ホールドが崩れやすく、見た目
非常に弱いホールドに見え、上半身を固めるリードを受ける事で
さらに崩れやすくなります。

もちろん、上体を固めて外見を作る踊りは、まだ身体の構造と
運動が解っていない時代の踊りであり、そのような踊り方で
教える事も習うこともあまり良い事とは言えません。

数十年前レッスンをした生徒の中で、病気のため異常に体重が増え
自らの足元も見えない程の方がいました。
健康のためにレッスンにいらしたのですが、初級のステップは
いとも容易く覚え、半年もしないうちにほとんどの種目をこなすように
なりました。

彼女は、当時、身長が155センチ、体重が100キロを優に
超えていて、ホールドをとっても、背中に届かない程でした。
体中がむくんでしまう病気のため、手足は異常に太く、
とてもダンスやスポーツをする体形とは言えませんでした。
しかし、彼女は、まったく男性にぶら下がることなく、
得意な種目はクイックステップでした。

特別な運動神経があったというの無く、子供のころからの難病で
歩くことすらできず、5年以上も医療機関で歩行の仕方を習い、
その後、医師に進められて社交ダンスを始めたのです。
一人で靴も履けない程に太っているので足元が見えません。
当然、転んだら一人では起きられず、何度も骨折をしたそうです。

しかし、このしっかりとバランスを取って歩く方法を習得したことで
社交ダンスを踊ると、誰もが驚くフットワークが使えたのです。
いかに自分でバランスを取って踊ることが大切な事が
解ると思います。

また、この逆で、モデルになれるほど美しいプロポーションで
有りながら、一曲踊ると、腕の筋肉が張ってしまう方を
何人も見てきました。
外見的に美しい姿は誰もが望むものではありますが、
二人でコンタクトし、お互いの体重をうまく利用して踊る社交ダンスは
いかに一人でパートナーの助けなく踊れるかが大切なのです。