日本人と欧米人の踊りの違い | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

私達日本人は、基本的に人に迷惑が掛からない様に
自分の行動を抑える様に教育を受けている民族です。
そのため、相手の動きを伺い、邪魔にならない様、
出来るだけ自分の主張を抑える様に育っている
傾向が見られます。

その為、様々な教育的教えも、耐える事を美徳とし、
自らの主張を積極的に行わないで、人との調和を
一番の目的とする様になりました。

この事は、日本人の性格形成に大きな影響を与え、
西欧人の方々とは異なった物事の感じ方を生み
日本人独特の文化を育みました。

しかしながら、この奥ゆかしい性格は、スポーツや
社交ダンスに於いては、マイナスと成ることも有ります。
欧米の方々は、子供の頃から基本的に自分の主張が
ハッキリしていて、常に自分の考えを前面に押し出す
傾向が有ります。

その為、有史以来争いが絶えず、欧米の歴史は
戦いの歴史と言っても過言では有りません。
そのため、いかに相手の考えを知り、自分の利益とするか
相手を納得させる主張と受け入れるべく有用な考えを
知る事に力を注ぐようになりました。

この事は、社交ダンスを踊る時にもはっきりと表れていて
男子は、女子がしっかりと演じてくれることを期待し、
女子は、男子がしっかりと演ずる場に導いてくれることを
期待します。
それ故、御互いの力関係は平等であり、表現と言う事から
考えると、女子の感覚が強い場合がかなりあります。

私達日本人は、昔から、女子が男子を立て、男子を中心に
家族が形成されて来た事から、男子が物事を決め、
それに従って、女、子供がする事が決定されてきました。
しかし、その長い歴史的傾向が、日本人の心に大きく影響し
社交ダンスを踊る為には、マイナスと働くとこも有るのです。

つまり、男子が中心と成り、女子がその後に従うと言う
社交ダンスの表現の目的と異なった踊り方が見られ、
欧米人からすると、不可思議なジャパニーズダンスが
出来上がっているのです。

間違ってならないのは、決して女子が男子に変わり
積極的に踊りを主張すると言うのでは有りません。
男女の役割をしっかりと理解すると言う事です。
少なくとも、男子の一方的なリードに、女子が従って
付いていくような踊りではないと言う事です。

どちらが偉いと言うものではなく、それぞれの役割を
しっかりと理解しないと社交ダンスの表現は、
不自然で違和感のあるものになると言う事です。

外見的に見ても、女子は踵が高くて重い衣装を着て
様々な付属品を身にまとって踊っています。
どう考えても、男女でどちらがバランスを取りやすいかは
誰が見ても明らかです。
高いヒールを履き、男子の動きに爪先立ちで必死に
フォローする女子は、ヒップが抜けて、胸が前に出て
もたれかかる踊りに成ってしまいます。

そのため、外見だけでもと、一生懸命上半身をのけ反り、
踊りらしく見せようとしていますが、そんな苦労を女子にさせては
日本男児の名折れとも言えます。
どんな難しいステップも表現も、安心して演じられる条件を
どれだけ作れるかが男子の技量でもあります。
また、女子は、自分の軸をブラさず、男子につかまらず、
自ら二人の踊りを演出する義務が有ります。

御互いの考えをしっかりと相手に伝え、その上で二人の
役割を果たす事が社交ダンスに於いては大切な要素です。
踊っている時、この人となら一生踊っていたいと、女子に
思わせるのが男子の技術であり、一生この人を守って
行きたいと男子に思わせるのが女子の技術でもあります。

社交ダンスは、ヨーロッパで生まれた、欧米人が理想とする
男女の在り方を表現した踊りです。
テクニックも表現も、その目的に則ったものでないと、
不自然に感じられるのです。