社交ダンスを踊るにあたって、しっかりと技術を磨き
豊かな表現をすべく強靭な体力をつけたとしても、
上手に踊れるかと言えば、そうでもないのが、
多くの人達が体験する事です。
私も、学生の頃にサッカーなどのスポーツでならし、
そこそこ体力も有り、持ち前の頑張りで、沢山の技術を
習得してきましたが、その事で、社交ダンスが上手く
踊れる様になったとは、いまだに言えません。
特に、問題は、相手が異性であると言う事であり、
自分の努力や思い込みが、多くの場合、空回りに成ったり
逆に、二人の踊りを乱してしまった事も多々あるのです。
ダンス教授書やテクニック集、ビデオ、DVDを、在るだけ
集め、完璧と思える程記憶しても、その努力は、ほとんど
自己満足にしかならないのです。
確かに、社交ダンスを習い始めた頃は、次々に習う様々な
テクニックやステップが、自分のスキルを高めて行ったとは
思いますが、二人が踊る技術としては、返って邪魔になったり
余計な運動と成ったりと、思いとは裏腹の状態でした。
この問題の解決には、やはり、月日と年月を必要としました。
もちろん、プロとしての高度なテクニックを世界のコーチャーや
踊り手から習いはしましたが、テクニックでは得られない事が
実は踊りでは大切で有ることをかなり後から知らされました。
それは、男女の違いであり、男と女の感覚の違いでした。
同じテクニックに於いても、男子が演ずる感覚と、女子が演ずる
感覚とは、非常に異なっているのです。
男子の感覚では正論でも、女子の感覚からすると、考えられない
受け入れがたい運動や考えが有るのです。
この事は、社交ダンスだけでなく、男女が付き合ったり、結婚したり
二人で同じ生活を行なう様になると必ず問題と成るものです。
男子の感覚では、正確なステップや表現は、理論に基づき、
一番素晴らしい踊りを作り上げる様に思いがちですが、
女子の場合は、その前に、その理論を受け付ける為の、感覚的な
正当性が無いと、頭で解っていても身体が受け付けないのです。
この事は、きわめて感情的であり、女子の心がしっかりと受容し
自分の表現がいかに成されよと、男子に受け止められなければ
心から美しい表現には至らないのです。
男にとっては、時に、非常に面倒くさい事でもあるのですが、
女子にとっては、踊る事以上に大切な事であり、一方的に
男子の理論を押し付けても、女子は思ったように踊って
くれないのです。
例えば、女子は、手とか、腕とか、接触点でコンタクトをされても
身体が反応しません。
簡単に言えば、女子のお気に入りの衣類の様に、
肌に快く触れないと、心の扉は開かないのです。
つまり、女子に、本気の踊りをさせるには、全ての点で安心させる
テクニックが必要なのです。
男子が小手先でひっぱったり、腕力を使ってリードしようとすると、
何故硬くなったり重くなったりするのかは、体力が無かったり、
技術が無かったりしているからと言うより、自分が踊りたいと
思えない男子の身勝手な運動に、拒否反応を示している事の
方が多いのです。
しかしながら、長年踊っていると、男子の思う様に動いてくれる事も
有ったりします。
男子からすると、なんでも付いて来て来てくれる素敵なパートナーと
思うかもしれませんが、女子の本心からすると、
言っても解からないから黙って従っているだけと
言う場合も多いのです。
女子の気持ちは、女子にも解からないほど複雑であることもあり
その混乱しやすい女子の心に明かりをともし、女子が気持ち
良くなる方向に導くのがリードでも有るのです。
いつも自分の言いなりになり、踊りやすいと思っている女子で
あっても、有る時、熟年離婚の様に、パートナーシップを解消される
ことも無きにしも非ずです。
社交ダンスは、男女の御互いの違いを良く理解して取り組まないと、
練習だけでは上手に成れない事もあることを知って下さい。