社交ダンスのみならず、素敵な立ち姿は、
あらゆるスポーツに見られ、どの分野においても
エキスパートと成ると、その姿は美しくて力強く
多くの観客の心を捉えるものです。
各種のスポーツに於いて、そのトップともなると
共通して上半身の美しさが目立ちます。
その美しさを更に強調したのが、クラッシクバレーなど
踊りの分野が上げられます。
社交ダンスに於いても、様々なステップやフィガーの
特性も目に付きますが、それを演じる踊り手の美しさは
上半身の立ち姿にあると言っても良いでしょう。
その為、少しでも、その姿にあやかろうと、多くの踊り手が
上半身をしっかりと伸ばし、姿勢よく踊ることに努力します。
しかし、この身体が美しく伸びている外見だけに囚われると
時に、違和感が生まれたり、身体の各部分が不自然に動いて
踊りとしての魅力に欠けてしまう事が有ります。
この美しい姿と言うのは、単に、社交ダンスに限らず、
多くのスポーツにも共通という事は、他のスポーツの
エキスパートが、上半身を美しく見せる事を考えていると
いう訳ではないのです。
殆どの場合、そのスポーツのパフォーマンスをよりスピーディに
機能的にすることを目的としているのです。
つまり、背筋がしっかりと頭骨と上体をバランスよく支え
脊椎の周囲筋が自由に反射的に動く為なのです。
上半身が真直ぐにバランスを取る事に因り、下半身との
運動機能がより高められ、自分の行うスポーツが
より的確に力強く行えるからです。
社交ダンスは、上半身や首をむやみに伸ばし、
真っ直ぐな体型を形作っているのではなく、身体全体が
スムーズに思うがままに動ける為に、見た目上半身を
伸ばしている様に見えるのです。
もちろん、姿勢が悪かったり、身体の中心がどちらかに
大きく倒れてバランスが取れなければ、矯正する事は
有りますが、むやみに身体を引っ張り上げたり、
ホールドを固定したりして、体型維持を考え続けなければ
踊れない様な体型を作ったりはしません。
踊っていて、ホールドが落ちたり、ステップが上手く
踏めなかったり、身体が硬直してしまうのは、
不自然な立ち方とバランスが原因であることが多く、
それを回避しようと身体が変形する事の方が多いのです。
ホールドが維持できなかったり、滑らかな運動が出来ない場合は
筋力が無かったり、技術が未熟で当ったりすると言うより、
無理矢理形を作って、身体に常にストレスを与えている事で
身体が嫌がって暴れている方が多いのです。
日本人は、外見に囚われやすく、見た目を気にして、見た様に
作ったり動かしたりすれば良いと思いがちです。
しかし、目に見えるほとんどの動作は、反射的に行われていて
その運動や形を作っているのは、決め事や意思ではなく
何かをする為の反射機能であることが多いのです。
踊っている時は、音楽と相手の事に殆ど集中しています。
他のスポーツに於いても、相手の動作や道具に反応して
反射的にあの美しい姿を作っているのです。
音楽やパートナーと一番的確に反応できる姿が
観客が見ている美しい姿です。
初心者の時から、自分の足型や身体の形のみに囚われる
自己満足の踊りをしていると、いつまで経っても、相手にとって
荷物にしかなりません。
10人と踊れば10通りのホールドが有り、その時の相手と
音楽に相応しい形が有ります。
パートナーに一番反応できるホールドや体型で踊れる人が
ベストダンサーです。
頭と体が常に繋がって機能的に動けるには、柔らかな上半身と
余計な緊張を作らないで上体を支える脊椎のバランスが必要です。
感情のままに、筋肉の緊張弛緩が行なわれ、次々に音楽と
パートナーに反応できる人が、一番自然な踊が出来て
誰が見ても美しい社交ダンスを踊れるのです。