最近の生徒の傾向は、知識は非常に有るものの、
対人センスに欠ける傾向が有ります。
ネットやメディアの普及により、あらゆるダンス技術が
簡単に手に入り、アマチュアの方でも、プロ並みの
知識を持っている人も珍しくありません。
かつて、プロにとっても難しいステップが、簡単に
多くの方々に踊られ、技術の進歩が伺えます。
しかしながら、本当に上手に踊っていると思われる方は
ほんの一握りであり、多くのペアが、御互いに自分の
頭の中の知識と踊っているのを感じます。
一人1人の能力は素晴らしくなっている様に思えますが、
残念ながら、二人が生み出す力は半減している様で、
まるで、ショウダンスの様な煌びやかの踊りであっても、
二人が生み出している踊りと言うより、誰か振付師が
一生懸命作ったルーティンを、二人が別々の踊りで
見せている様にしか見えない事が多いです。
いっそ、ショウダンスとして見せればいいのですが、
社交ダンスと言うと、何か違和感を感じます。
商業的なものとして位置付ければ、社交ダンスも価値が出て
多くの収入に結び付くのかも知れませんが、技術と衣装を
取り除いたら、人間的に何の魅力も感じないのは問題です。
社交ダンスは、本来、成熟した大人の男女の、人としての
素晴らしい人間性を見せるものです。
そうある為に、子供達は、社交ダンスを通じてマナーを学び
立派なジェントルマンやレディとして成長したものです。
競技的な、点数やクラスも面白いですが、社交ダンスに関しては
上に立つ人たちは、少なくとも、人間的に優れていて
多くの人々の尊厳を集める存在でなければいけません。
逆に言うと、今のダンス界は、あまりにも、ドロドロした
物欲金欲しか感じられないのは私だけでしょうか。
社会の人々は、ダンスを知らないが上に、その美しさに憧れ
実体を知った時、離れるのも早いのです。
見てくれの美しさで競うだけでは、社交ダンスの素晴らしさは
社会に定着しないのです。
申し合わせでしか踊れない人、相手が変わると一歩も動けない人、
自分の事しか考えられない人、外見でしか優劣を感じられない人等
社交ダンスを習っていながら、大切な事を知らない方々が多くては
私達の将来も危ういと言えるのです。
どんな技術の方でも、世代が違っていても、運動能力が違っていても
一人の大切な人として、自分の踊る相手を感じられないのは
本当に社交ダンスを習った人とは言えないのです。