スタンダードにおいて、女子は、いかに男子のパワーを
身体の中心に受けられるかが重要です。
男子にしてみれば、いかに女子の中心にパワーを与えるか
が重要です。
つまり、豊かな女子の演技は、男子からもらった力を利用し
表現できるかが大切です。
ところが、多くの女子が、男子から強い運動を両腕で受け、
男子の運動をしっかり固めたホールドで受ける様に使っています。
身体のコンタクトが無いペアに多い踊りで、言わば、申し合わせの
柔道です。
社交ダンスに於いては、女子が滑らかにスウィング、ターンを行ない
二人が下半身から得た力を、演技として空間に表現して
行かなければなりません。
初心者の間は、どうしても先生に付いていく踊りを行なうため、
特に女子は、身体が引けがちです。
その為、重心を先生に近づける為、むやみに反っている場合が
多いのですが、女子が男子に対する運動は、ボディの中心を
男子に近づける為であって、反ってコンタクトしているのでは
有りません。
男子は、女子に演技してほしい方向に、身体全体で自らが
動く事で指し示します。
この時、男子からの指示のみならず、運動を受ける為に
男子が動く方向に、自分の重心とセンターを向けるのです。
この時、柔軟な女性は、頭が残り、あたかも反って踊って
いる様に外から見えるのです。
ゴルフに於いて、ボールを打った後、重心が強く進行方向へ
向かう事によって、大きな弓なりのポーズが出来ます。
しかし、ゴルフに於いて、ゴルフは、反って球を打つと
思っている人は、一人もいないはずです。
その姿は、運動の結果であり、反る事が目的では
有りません。
しかしながら、社交ダンスを踊る多くの女子は、
外見だけで判断し、社交ダンスは反って踊ると思って
闇雲に朝顔の様に2人が腰を付け合って開いている
醜い踊りが多く見られます。
プロが踊ったり、エキスパートがスピーディに踊ると、
反射的にお互いに重心が向かい合い、その時
遠心力が大きく働く事によって、二人の上半身が
非常に大きく反っている様に見えるのです。
強い足腰と、柔軟な上体の成せる業であり、
形で入ると、いつまでも不自然な運動になりますから
要注意です。
スポーツやダンスの素晴らしい形は、
素晴らしい運動機能によって生まれるものです。
スポーツの原理を良く知って、時間をかけて
二人の身体を作って行けば、必ず、二人にとって
一番美しい社交ダンスに成ります。
素晴らしい魅力的なダンスは、目に見えないところの
運動や、心の有り方で生まれます。
外見的に見える形や、表情は、二人の内面から来る
自然な運動によって作られることを忘れてはいけません。