私達ダンスをする人々の中でも、カラオケは
結構人気が有り、踊るだけでなく、足しげく
通っている方も多くいます。
今では、1億総歌うま、と言われる程、歌に親しみ
その数は、社交ダンスを遥かに凌ぐと言われます。
ところで、皆さんは、自分の十八番を歌うだけでなく
誰かとデュエットをする事は有りませんか。
1人で歌う時と違って、お互いに顔を向けて
目くばせをしたり、仕草を合わせたりと、その楽しさは
シングルで歌う以上とも言えます。
うまい下手は別として、この時、無意識に相手の歌を
効きながら、相手のしぐさを感じながら歌っていませんか。
実は、この事が、社交ダンスに於いても大切な事なのです。
多くの方々をレッスンしていると、この歌で言う、デュエットの
気遣いが感じられないペアが多いのです。
自分の事で頭がいっぱいなのかもしれませんが、
様々なテクニックは、相手と踊る為の道具であり、
コンタクトした上半身は、2人で歌うデュエットの声でも有るのです。
レッスンを受けると、男子は男子、女子は女子のステップと形を
一生懸命習い、いかに、言われたように、しっかりと記憶して
順番を間違えず踊るか、という事に神経を使います。
この事は、決して、初心者のみい言えることではなく、
キャリアがかなりあるベテランでさえ、自分のテクニックを
しっかりと間違わないで覚える事が上達の秘訣と思っています。
もし、これが、シングルで行う、例えば、ボーリングの様な
対物的なスポーツであればいいのですが、社交ダンスは
あらゆる習い事の中でも、相手の事を常に考えていないと
上手に踊れない踊りでもあるのです。
この様に書くと、相手の足型を覚えればいいのかと
短絡してしまう方もいますが、例え、相手の足型と上半身の
形を覚えても、やはり社交ダンスには程遠くなってしまいます。
大切な事は、社交ダンスのテクニックは、言わば生き物の様な
常に変化しているようなもので、基本の足型や上半身の形は
有っても、いつも同じ運動や方向、大きさでは、かえってお互いに
邪魔をしてしまうのです。
社交ダンスの踊りと言うのは、音楽を通じて、いつもお互いに
話し合いをして表現や身体の使い方を決めている様なものです。
同じステップやルーティンであっても、時と場合、更には踊る
フロアーや音楽で全く変わって行くものなのです。
様々な足型の方向や大きさ、上体の使い方は、非常に柔軟に
その場の条件を判断して対処していかなければなりません。
この事が、社交ダンスがマナーとして使われる大きな要因です。
自分の思い込みだけで踊ろうとすると、必ず、相手とトラブルを
生じる事と成り、2人が互いに自分の思い込みで踊ると
格闘技と成ります。
今、日本で踊られている社交ダンスは、世界でもトップレベルの
テクニックと表現が感じられます。
しかしながら、2人の関係を見ると、とてもトップとは言い難い
お互いの主張のような踊りが多く見られます。
本当に素晴らしい踊りは、2人の踊りのテクニックや表現以上に
2人の深い思いやりといたわりが感じられるものです。