二人の踊りを見せて下さい! | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

現役を引退して、競技選手やデモンストレイターを
外から見る機会が増えてくると、自分が審査されて
踊っている時と、外から見た時は、随分感覚が違って
全く的外れで演技していることも多いことが
解ってきます。

アマチュアの時から20年以上競技ダンスを続け
様々な世界のコーチや日本の有名コーチに指導され
その教えに従うべく、殆ど一年中ダンス漬けの
毎日でした。

しかしながら、その内容をまとめた数十冊のノートも
今になって調べてみると、同じステップのレッスンや
同じ種目のレッスンであっても、人それぞれ異なり、
世界トップクラスのコーチャーでさえ、全く反対の
説明をしていることが珍しくないのです。

決してどちらが間違っていると言うのでなく、
それぞれの音楽や踊りに関する観点が異なっていて
説明すると全く反対の意見となっているのです。

選手の時は、少しでも成績を上げようと、コーチャーの
言う事は神の声のごとくコピーして理解しようと
毎回頑張ってきたのですが、残念ながらその効果は
期待するほどではなかったのです。

また、自分が完ぺきに踊れた時よりも、不満だらけで
殆ど身体も使った覚えがないのに、審査員や
コーチャーからは絶賛されたり、いったいどうして?
と言いたくなることが数々有りました。

今になって思うと、その練習方法は随分無駄で
自分の技術上達には役に立っていなかったのが
よく解ります。
つまり、簡単に言えば、習った技術を記憶して、
それをただ競技会で確認していたにすぎないのです。

戦いと言うのは、その他のスポーツと同じく
その日その場所によって全く状況が異なり、
記憶で踊ろうとすると大体失敗します。
まだ技術がままならないときは仕方ありませんが、
一曲のルーティンを振り付けして踊るようになると
テクニックを見せようとして、音楽と二人の関係が
消えてしまいます。

例え、審査員であっても音楽性あふれた素敵な
表現をするペアを見たいのです。
技術の説明をする踊りは、余り面白く有りません。
よくやる競技選手の間違いは、良いコーチャーに
素晴らしいルーティンを組んでもらえば上手になり
成績も上がると思ってしまう事です。

テクニックは、演ずる場で相手と周囲の状況
そして、その日聞こえる音楽の感じによって
変わらなければならないのです。

私も若い頃、コチャーに言われたことや習った
表現をしっかりと守って踊ろうと努力して
踊っていたのを覚えています。
しかし、道具ばかり立派で、その時聞こえている
音楽や目の前のパートナーを感じる事を
忘れてしまう事がありました。

審査員もその時流れている素晴らしい音楽を
演じて欲しいのです。
今日は足型を間違えなかった、とか言われた通り
踊ったというのは初歩の段階で、二人が
その時流れる音楽をどのように感じて、どう
演じたかが問題なのです。

確かに、世界のトップコーチャーのレッスンは
素晴らしいですが、そのまま演じると、随分
つまらない人まねに終わってしまいます。
歩幅も表現も演技の大小も、その時一番
音楽に合っているペアが素晴らしいのです。

二人が持っているテクニックで、その日流れる
素晴らしい音楽をいかに演ずるかと考えると
審査員も観客も納得する、生きた踊りになります。