2人で踊るという事は、二人合わせて100キロ以上の
体重を動かすという事です。
皆さんは、社交ダンスの優雅な運動を見て、なんて
軽やかで美しいと思うかもしれません。
でも、大人が二人コンタクトをして踊るという事は
2人の体重が影響し合うという事を理解していないと
見たような美しい軽やかな踊りとは程遠くなります。
ダンスが踊れないと悩む多くの方は、お互いに
相手に向かて体重を掛けて踊っています。
この行為は、例えるならば男女が相撲を取っている
または、柔道をしていると言っていいでしょう。
つまり、自分の体重をコンタクト面に与えたり、
相手を両腕で捕まえたりして踊っていると、それは
格闘技に他ならないのです。大切なことは、
2人が向かっていく方向です。
どちらかが前進をし、どちらかが後退をするはずです。
それの前後の運動を切り替える動作がターンです。
ダンスの表現は前進後退のウォークの加速を利用して
演技に変えていきます。
スタンダードダンスは、一般にフィガーの前半で
ウォークが行われ、その延長上で様々な種類の
ステップに変わっていきます。
従って、この加速が上手くいかないと、重くて硬い
格闘技になってしまうのです。
ウォークのテクニックとして大切な事は
実戦で説明しなければならない程沢山有りますが、
第一にいえる事は、進行方向に近い人が運動の
中心だと言う事です。
踊り始めで、多くのペアの男子が前進女子が
後退をします。
この際の一番の間違いは、後退する女子が男子に向かい、
上半身を押し付け、下半身からステップを遠ざける事です。
つまり、相撲です。
何故、女性を後退から運動させて踊るのでしょう。
それは、女子が踊りの中心であり、女子が美しく
表現出来る様、女子の歩幅、ボディーワークを知る為です。
進行方向に動く女子にボディから体重を与え、より女性が
スムーズに後退出来る様、更には、小節の後半で演ずる
表現を助ける為に男性は女子を後退から躍らせるのです。
女子のコンタクトは、女性が踊る上体を男子に知らせ
男性にエスコートしてもらうためです。
決して、男性に持たれて押されて踊るのではありません。
男性も女子を引き付けたり、身体で押し出したりしないで
あくまで女子のパフォーマンスを助ける事を考えます。
もちろん、男性が後退するときは、女性は体重を
男性に与えながら、男性の後退を助けます。
多くの競技会で、スタンダードダンスは、最初に
ワルツが踊られることが多いです。
この時、ナチュラルスピンターンの2小節を見れば
そのペアの技術は殆ど解ります。
男性に女性がしがみついていたり、
女性を男性が引き付けて踊っていると
その時点で、もう、審査員はそのペアから
目を背けます。
全てのリーダーは、パートナーがいかに楽しく
大きな表現ができるか、パートナーはいかに
自分でバランスを取って、リーダーに振り回されず
美しく踊るか考えてみましょう。
女性が心の底から気持ちよく楽しく踊れると
男性は全身で楽しく踊れます。
男女の踊る役目は異なっています。
お互いの役割をよく理解してダンスを踊りましょう。