私のルアーは全てバーブレスのトレブルフックとしている。

シーバス用としてはBKK Fangs 92-UA バーブレスが良い。

バーブレスにしているのは、魚へのダメージ軽減もあるが、トラブル軽減の意味も大きい。
かえしは布や紐のようなものに刺さると大変煩わしい。

衣服に刺さった釣り針を取るのに、大きく穴を空けたこともある。

漁港でロープに引っかけて、何分も時合いを逃したこともある。

釣りを成立させるためには、トラブルを最小限するのが第一歩だと思う。

 

さらに、根がかりを外しやすいことも実感している。

根がかりの際には、ベールを返してルアーにかかるテンションを零にして、数秒間放置すると五割は回収できる。

フローティングであれば、流れを受けて、浮かび上がるまでの時間。
シンキングだったら、自重で沈むまでの時間のイメージだ。

先端だけ引っかかっている状況なら、

釣り針はライン方向にテンションがかかっているときにはより食い込むが、その他の方向には外れやすい。

バーブレスはかえしがない分、その指向性がより鋭い。

 

ならばファイト中にフックアウトする確率も高くなりそうだが、私のデータでは、確率上昇は限りなく零である。

かえしの有無にかかわらず、口を貫通すればバレないし、貫通していなければ外れやすい。

勿論、ファイト中にテンションを抜くようなことをすれば、どちらにしても命取りになる。

 

シングルフックはどうだろうか。
少なくともミノーにはトレブルフックが必須だというのが私の結論だ。

 

シングルフックは軽いので、太軸にしたりウェイトシールを貼ったりと、何らかのウェイト調整が必要となる。

問題は、いくら工夫をしても、ルアー設計者の意図とは異なる動きをしているのではないかという不安が拭えないことである。
ルアーを信用できないと集中力を保てない。


『釣りの科学』の中で、著者の森秀人氏はフッキングの原理について言及している。

餌釣りの場合、魚が釣り針を吸い込むと、フックの先端が上あごを捉える向きに自動的に方向を変える。

これは物理学(流体力学)から導かれる予想と一致しており、簡単な実験としては、掃除機の口にハリス付きの釣り針をぶら下げることで、空気中でも確認することができる。

だから、餌釣りでは上あごに綺麗にフッキングすることが、最も良いタイミングで合わせに成功した印になるのだ。
 

ミノーの場合はどうだろうか。
近年の動画では、ミノーのヒットシーンやシーバスがイワシを捕食するシーンなどが公開されている。

良く見てみると、シーバスはミノーを横から吸い込むケースがほとんどであることに気付く。
吸い込んだ直後に違和感に気付いたシーバスは、瞬時にミノーを吐き出す。
吸い込んでから吐き出すまでの時間はおおよそ0.2秒であることが分かっている。
この掃き出しの際に針先が口腔内のどこかを捉えるかどうかがヒットするかどうかの分かれ道になる。

 

ミノーでは、餌釣りのようにオートマチックに針先がセットされないところが、大きな違いである。
同じ疑似餌でも、フライの場合には魚は針を吸い込むため、シングルフックであっても上あごを捉えやすい。

一方、ミノーでは針先がセットされないため、フッキングの確率は針先の数と立体構造に依存することになる。

確率的に引っかける様はガラガケに近い。

シングルフックでガラガケに挑むのが難しいことは想像に容易いだろう。

故楠ノ瀬直樹氏が好んで用いた「ゾウさんフック」は、トレブルフックの二本を曲げて残りの一本のかえしを潰す。
「ルアーのフックは少ないほど美しい」という彼の美学から生まれた奇妙な構造だが、ルアーへの信用が完全に確保できており、立体構造を残すことで、フッキング率はトレブルフックの三分の一を下回らない。

シングルフックに交換するよりも良く釣れたはずである。