前回の続きで、『モーニングバード』の放映でカットされた「マグロの資源管理に関するQ&A」について書き留めておきます。(一部補足あり。)
Q:漁業者は巻き網にメジが入るのは「混獲」だと言っているようだが、本当は狙って獲っているのではないか?
A:それは定義の問題だと思う。もちろんメジより成魚の方が価格が高いので(狭い意味で)メジを狙って獲ることはないと思うが、操業エリアに何かしらの群れが現れれば、(魚種を定めずに)それを狙って獲るのは(ミクロ経済学的に見て)止むを得ない部分もあると考えられる。
Q:水産庁は「メジマグロを獲らないで」ではなく「メジマグロを食べないで」と言っているが、これはどういうことか?
A:単なる言い方の問題だと思うが、文字どおりに解釈するならば、漁獲をする側にも権利があるので直ちに強制的に禁止することはできないが、資源状況がよくないので早く何かしらの手を打ちたいという意識の表れではないか。もしくは、社会に訴えること自体が目的かもしれない。いずれにしても、(狙ったかどうかはわからないが、)それなりに話題になっていることを考えると、結果として一定程度意味のある発言だったのではないか。
Q:そもそも消費者がメジマグロを食べなければ、漁獲量も少なくなるのか?
A:食べなければ、価格は下がる。(本当に誰も食べなければ価格がつきませんが、安くなれば誰かが食べるでしょう。)そうすると、長期的には「採算が取れないから退出しよう」と考える漁業者がいるはずなので漁獲量は少なくなると考えられるが、短期的には「水揚量を増やしてカバーしよう」と考えるケースもないことはないので、資源管理をしっかりとおこなうこととセットで考える必要がある。(そもそも、理念的なメッセージではないか。)
Q:今回の規制の、養殖への影響は?
A:養殖用種苗の多くは曳縄で獲っているが、これも15%削減となるともちろん影響がある。多くをそのまま食べる巻き網とは違い、大きく育ててから食べるわけであり、また、現在すでに一昨年の採捕尾数を基準に規制をかけているため、これ以上の規制はおこなわないのではないか。ただし、昨年・今年の養殖用種苗は深刻な不漁であるため、今回の規制とは無関係に、数年後には成魚の価格上昇に繋がる(ならびに、採捕尾数制限の強化に動く)可能性がある。
Q:近大の完全養殖マグロは、救世主になるか?
A:長期的には十分可能であると考えられるが、5・6年以内に…となるとまだ難しいと思う。
Q:では、消費者はどうしたらいいのか?
A:メジはクロマグロの幼魚なので「国産 本マグロ」などと書いて販売しても問題なく(メバチでこう書いたらもちろん偽装です)、そもそも消費者自身で判断できないこともある。食べ慣れている人でないと、味での判断も難しい。表示されているケースであっても、不買はみんなで一斉にやならければ意味がないし、表示されていなければ、店員に聞いたり訴えかけたりするところから始めなくてはならないので、短期的にできることはほとんどないように思う。長期的には、マグロに限らず(例えばウナギも)みんなが日常的にこういったことに興味・意識を持つようになれば、このような資源収奪的な漁業生産はおこなわれなくなっていくとは思うが、(日本における環境保護団体の位置付け等を考えると)まだまだ難しいように思う。
主なものは、こんなところだったと思います。
その他も細かいものを色々と聞かれた気がしますが、特にメモをとっていたわけでもなく、忘れてしまいました。
どんな編集をされるのかな~と多少心配でしたが、コーナーの趣旨も比較的真っ当でしたし、編集も特に気になりませんでした。
余談ですが、編集のされ方を見る限り、丁寧に論理的に時間をかけてしゃべるとカットされてしまうようです。
結論のみを直感的(かつ誤りのないよう)に伝える練習が必要ですね。
そもそも私はマスコミ対応はあまり好きではないのでそんな心配をする必要もないのかもしれませんが、近年研究者にはアウトリーチ活動も求められますので、多少は心がけていきたいと思います。