日本語の完訳が見つからなかったので、ちょっと暇潰しに。
名指揮者セルジュ・チェリビダッケに同じく名指揮者のカルロス・クライバーが宛てた有名な文章です。
当時、シュピーゲル誌にチェリビダッケについての記事が出たんですが、そこで彼が口にした他の名指揮者たちに対する評価というか、罵倒が引用されてたんですね。それによると、カラヤンは「恐ろしい。彼はいいビジネスマンか、そうでなければ耳が聞こえない奴なんだろう」クナッパーツブッシュは「醜態だ、果てしなく非音楽的」トスカニーニーは「音符工場に過ぎない」ベームは「ジャガイモ袋(デブ+ダサくて動きがどん臭い人間という意味です(汗))、生涯一度として音楽的に指揮したことがない」と散々なこき下ろしなのですが、それを読んで切れたクライバーが亡きトスカニーニーに成りきって、次のような「天国からの電報」を送ったわけです。
クラシック音楽好きさんには注釈は要らないと思いますが、分かり難いところは括弧にそれぞれ名前を入れておきました。
「トスカニーニー(天国)より、チェリビダッケ(ミュンヘン)宛て
親愛なるセルジュ!
我々はシュピーゲル誌であんたの話を読んだよ。あんたはうざったいが、我々はあんたを許してやる。そうせざるを得ないのだ、こちらでは「許す」というのがマナーなんでね。ジャガイモ袋のカーリー(ベーム)はちょっと文句を言っていたが、クナー(クナッパーツブッシュ)と私が彼を説得して、君には音楽性があるよと言ってやったら、くよくよするのを止めたがね。
ヴィルヘルム(大御所中の大御所、フルトヴェングラーのこと)は急に、あんたの名前なんか聞いたこともない、と言い張るんだ。パパ・ヨーゼフ(ハイドン)、ヴォルフガング・アマデウス(モーツァルト)、ルードヴィッヒ(ヴァン・ベートーベン)、ヨハネス(ブラームス)とアントン(ブルックナー)は、第二バイオリンは右側に座らせた方がいいと言うし、大体あんたのテンポは全部間違っていると言っている。ま、皆そんなことは屁(原文では「汚物」)とも思っていないがね。天国では屁なんかには構っちゃいられないんだ。ボス(神様)が嫌がるからさ。
隣に住んでいる禅宗の老師は、あんたが禅を全く間違って解釈していると言っている。ブルーノ(ワルター)はあんたの言葉にげらげら笑っていた。どうも奴はカーリーと私についてのあんたの意見には賛成しているんじゃないか、と疑っているんだが。機会があったら偶には奴の悪口も言ってやってくれ、そうじゃないと仲間外れになったと思い込むからな。
あんたには大変お気の毒なんだが、こちらでは皆カラヤンに熱狂していて、指揮者たちはちょっぴりだけ彼に嫉妬しているぐらいなんだ。我々は十五年から二十年後に彼をここで歓迎できることが待ち遠しくてね。あんたがその時、一緒でないことは大変残念に思うよ。だけどあんたが行くだろう場所の方が料理は良く煮えていて、オーケストラは休む暇なく練習しているらしい。何でも彼らはわざと間違って、あんたが永遠に彼らを訂正できるようにしてくれるそうだ。
あんたにはそれが大変気に入ると思うよ、セルジュ。天国では天使が作曲家の目から全てを読み取ってしまうので、我々は聴いているだけで済んでしまうんだ。私がどうしてここへ来たのか――それは神のみぞ知る、ということだな。
それじゃせいぜい楽しんでくれ。親愛を篭めて、アルトゥーロ」
名指揮者セルジュ・チェリビダッケに同じく名指揮者のカルロス・クライバーが宛てた有名な文章です。
当時、シュピーゲル誌にチェリビダッケについての記事が出たんですが、そこで彼が口にした他の名指揮者たちに対する評価というか、罵倒が引用されてたんですね。それによると、カラヤンは「恐ろしい。彼はいいビジネスマンか、そうでなければ耳が聞こえない奴なんだろう」クナッパーツブッシュは「醜態だ、果てしなく非音楽的」トスカニーニーは「音符工場に過ぎない」ベームは「ジャガイモ袋(デブ+ダサくて動きがどん臭い人間という意味です(汗))、生涯一度として音楽的に指揮したことがない」と散々なこき下ろしなのですが、それを読んで切れたクライバーが亡きトスカニーニーに成りきって、次のような「天国からの電報」を送ったわけです。
クラシック音楽好きさんには注釈は要らないと思いますが、分かり難いところは括弧にそれぞれ名前を入れておきました。
「トスカニーニー(天国)より、チェリビダッケ(ミュンヘン)宛て
親愛なるセルジュ!
我々はシュピーゲル誌であんたの話を読んだよ。あんたはうざったいが、我々はあんたを許してやる。そうせざるを得ないのだ、こちらでは「許す」というのがマナーなんでね。ジャガイモ袋のカーリー(ベーム)はちょっと文句を言っていたが、クナー(クナッパーツブッシュ)と私が彼を説得して、君には音楽性があるよと言ってやったら、くよくよするのを止めたがね。
ヴィルヘルム(大御所中の大御所、フルトヴェングラーのこと)は急に、あんたの名前なんか聞いたこともない、と言い張るんだ。パパ・ヨーゼフ(ハイドン)、ヴォルフガング・アマデウス(モーツァルト)、ルードヴィッヒ(ヴァン・ベートーベン)、ヨハネス(ブラームス)とアントン(ブルックナー)は、第二バイオリンは右側に座らせた方がいいと言うし、大体あんたのテンポは全部間違っていると言っている。ま、皆そんなことは屁(原文では「汚物」)とも思っていないがね。天国では屁なんかには構っちゃいられないんだ。ボス(神様)が嫌がるからさ。
隣に住んでいる禅宗の老師は、あんたが禅を全く間違って解釈していると言っている。ブルーノ(ワルター)はあんたの言葉にげらげら笑っていた。どうも奴はカーリーと私についてのあんたの意見には賛成しているんじゃないか、と疑っているんだが。機会があったら偶には奴の悪口も言ってやってくれ、そうじゃないと仲間外れになったと思い込むからな。
あんたには大変お気の毒なんだが、こちらでは皆カラヤンに熱狂していて、指揮者たちはちょっぴりだけ彼に嫉妬しているぐらいなんだ。我々は十五年から二十年後に彼をここで歓迎できることが待ち遠しくてね。あんたがその時、一緒でないことは大変残念に思うよ。だけどあんたが行くだろう場所の方が料理は良く煮えていて、オーケストラは休む暇なく練習しているらしい。何でも彼らはわざと間違って、あんたが永遠に彼らを訂正できるようにしてくれるそうだ。
あんたにはそれが大変気に入ると思うよ、セルジュ。天国では天使が作曲家の目から全てを読み取ってしまうので、我々は聴いているだけで済んでしまうんだ。私がどうしてここへ来たのか――それは神のみぞ知る、ということだな。
それじゃせいぜい楽しんでくれ。親愛を篭めて、アルトゥーロ」